特定分野の功績
和白干潟を守る会
昭和63年に結成された会で、福岡県の博多湾東奥部にある和白干潟の保全活動を続けて22年になる。和白海域の水鳥の調査や自然観察会の開催、干潟のクリーン作戦、同海域の水質調査や一般市民を対象とした和白干潟まつりの開催など和白干潟に根をおろした環境保全活動をされている。平成21年は年12回開催のクリーン作戦に延べ304名、年10回開催の自然保護観察会に延べ 458名が参加している。
博多湾東奥部にある和白海域(約300ha)と和白干潟(約80ha)は大都市の近くにありながら野性生物が豊富に生息し、東アジアの水鳥の渡りルートの交差点に当たる国際的に重要な湿地です。
和白干潟はこの水鳥たちの越冬地や中継地となっており、1980年以降237種もの野鳥が記録されています。1978年に福岡市の博多港港湾計画で和白干潟を含む博多湾東部海域の全面埋立計画が発表されました。生まれ育った和白干潟が埋め立てられることが残念で、1987年に「和白干潟保全の請願書」を300名の署名を添えて、福岡市議会に提出しました。1988年に地元の人々に呼びかけて「博多湾・和白干潟の豊かな自然を破壊から守り、未来の子ども達に伝える」ことを目的に「和白干潟を守る会」を結成し、干潟の保全活動を始めました。現在会員数は全国に約300名です。この活動の影響もあり福岡市は和白干潟の埋め立て中止を決定しましたが、今度は、和白干潟の前面に401haもの人工島計画ができ、1994年に着工されました。博多湾や和白干潟の環境悪化が心配されています。
1988年12月に手書きの「和白干潟通信 愛して、わじろ」を発行することにして、公民館の印刷機を借りて刷りました。それを会員が分担して、和白干潟の周りの地区に配布しました。
1989年には「和白干潟まつり」を手探りで開催。
1990年にはクリーン作戦や水質調査を開始。
1991年には水鳥調査を開始。1997年には和白干潟の環境教育プログラムを作成し、このプログラムによる自然観察会を開始。2009年からは砂質調査を開始。いずれの活動も開始以降、毎年継続しています。現在も定例会議で皆で話し合いながら決めていく活動スタイルを続けています。1990年頃から国内外の団体との連携が進み、運動が急速に大きくなっていったように思います。韓国や香港の干潟の調査や交流にも行きました。
2003年には環境省などへの働きかけが実り、和白海域が「国指定和白干潟鳥獣保護区」に指定され、2004年には和白干潟がラムサール条約登録湿地の候補地に選ばれました。また、2009年には「日本の里100選」にも選ばれました。今後も和白干潟がラムサール条約登録湿地となり保全されるよう願って、保全活動を続けます。若い方々の参加を待っています。