社会貢献の功績
特定非営利活動法人
バングラデシュと手をつなぐ会
「バングラデシュと手をつなぐ会」は今年 20 周年を迎えた。バングラでも僻地にある「カラムディ村」で<保健医療><教育><生活向上>を柱に、現地 NGO 「ションダニ・ションスタ」 と協力して活動している。
本会は、カラムディ村出身の留学生モクレスール・ラフマン氏と前代表の大木松子牧師の出会いで始まった。毎年モンスーンで倒される藁葺きの小学校を、レンガ造りにしたいというラフマン氏の願いと、アジアの人々への償いをしたいという大木牧師の祈りが重なり、1987 年「バングラデシュに小学校をつくる会」が発足。2年後に集まった募金で「ジャパニ小学校」が完成し、会は現在の「手をつなぐ会」へと発展した。その後、二ノ坂の参加で活動は保健医療分野へも広がり、95 年には「母子保健センター」が完成、現地の医師や看護師が働くようになった。
当会では、現地 NGO 「ションダニ・ションスタ」 と、援助し、援助される上下関係ではなく、対等のパートナーシップを基本としている。ションダニが現地の活動を企画立案し、予算をたてる。日本側はその計画、予算を検討し、会として支援可能かどうかを検討する。毎年の現地訪問は、一緒に現地の活動を見学し、現地の問題を共に考えることが目的である。
母子保健センターは、Community-Based Hospitalをモットーにしている。地域=村人と共に健康作りを推進するのが目的だ。外来や入院患者の治療だけでなく、地域全体への保健医療への関心、知識を高めるため、村の家々を回る「巡回検診」、周囲の村に出かけて診療を行う「サテライトクリニック」など地域への保健医療の普及に努めてきた。
しかし実際には課題も多く、これまでも多くの困難を経験してきた。国全体が貧しく、健康保険もないバングラ、農村では保健医療の知識も少なく、裸足の医者と呼ばれる村人(医療者の資格を持たない)が、医療の一部を担わざるをえない。
僻地の村ではわが国同様、医師や看護師の確保はかなり困難で、これまでにも幾人もの医師が交代した。また、村人の政治活動の対立に巻き込まれ、抗議集会に引き出されたこともあった。
毎年行っている夏の現地訪問も、20回を越えた。今年(2009年)は、12名が参加し、現地で温かい歓迎を受け、交流を深めた。20年の地道な活動は着実に村人の間に根を下ろしてきたことを実感する。現地NGOションダニは、地域でも有数のNGOに成長し、リーダーとして認められている。
20年間の活動を通して、たくさんの学びを得た。経済格差は人間格差ではないこと。より困難な途上国の状況の中で働くNGOメンバーの人間としての力強さ。人と人とのつながり、顔の見える関係の大切さ。そしてバングラから見えてくる日本の姿。
今後も、会の名前通り、バングラの人々と「手をつなぐ」関係を大切に持ち続けたい。
(代表・二ノ坂 保喜)
受賞の言葉
社会貢献賞受賞の栄誉に心から感謝申し上げます。 今回の受賞は、バングラデシュ僻地のカラムディ村で、教育と保健医療を柱に、小学校や母子保健センター建設、現地 NGO との交流(現地訪問)、国内での啓蒙活動などが評価されたものと現地スタッフと共に喜んでいます。今後も村人たちと同じ目線に立つ協力活動を継続していきます。