社会貢献の功績
あいあい教室
目の不自由な赤ちゃんを抱えて、お母さんはどこにも相談できず、一人で悩みを抱えている。あるお母さんの、「たすけて!」と悲鳴にも近い切実な悩みを綴った手紙が、当時の京都府盲人協会(現視覚障害者協会)に届いた。その手紙がきっかけとなり、「あいあい教室」が誕生した。
視覚障害児の出生率は他の障害に比べて少なく、相談出来る場がなかった。今でも、視覚障害児を専門とした通園事業は、全国に4カ所しかない。長くこの通園事業を続けられているのは、京都府・京都市の行政の支援が大きな力となっている。目の不自由な乳幼児の親子支援を始め、33 年が過ぎた。その間に巣立っていった子ども達は 360 人を超え、社会人として生き生きと仕事をし、結婚した卒園生もいる。
赤ちゃんが生まれ喜びいっぱいのお母さん。そのお母さんの喜びも束の間、目の病気や障害を宣告され、あちこちの病院を巡り、それでも見えない事実を突きつけられる。お母さんの悲しみ、苦しみは言葉では表せるものではない。
「東京の病院に行った時、新幹線の中から雪化粧した富士山が見えました。なんと美しい姿でしょう。でもこの美しい富士山を、この子は見ることができない。そう思うと涙が溢れてきて…」。「悶々とした日々を過ごし、気分転換のため街に出てみました。ふと目をやったお店のショーウインドウから、純白のウエディングドレスが目に入りました。その瞬間、我が子は一生こんなドレスは着られないと思い、悲しくてたまらなくなりました」。「あいあい教室」に通い1・2年経つと、お母さんたちからこんな言葉が聞かれる。出会った頃には、口にも出せなかった言葉である。
人が視覚から得る情報は80パーセントにも及ぶ。特に乳幼児期の発達には、視覚から得る知識は大きなものである。しかし、子ども達に早期から適切な関わりをしていくことにより、視覚に代わり聴覚や触覚が育っていく。手が目の代わりとなり、いろんな物を触り知識を得ていく。子ども達の成長と共に、お母さん達にも変化が見られる。やがて、お父さんも子育てに参加され、家族で障害を受け止め、前を向いて、子どもの成長を見守っていかれるようになる。
私たち職員は、そんなお母さんとお父さんに寄り添い、たくさんの悩みを受け止めながら、支援をしている。やがて、それが子育ての喜びに変わるとき、私たち職員もこの仕事を続けてよかった!と、たくさんの感動をいただいている。
あいあい大好き!職員全員が一丸となって毎日仕事に励んでいく。
(代表・髙橋 弥生)
受賞の言葉
30 数年間、地道に視覚障害乳幼児の親子支援を続けてきたことがこのように評価され、スタッフ一同喜びでいっぱいです。厳粛で華やかで式典では、改めて受賞の喜びを感じると同時に、これからの教室の充実を誓いました。社会貢献賞をいただき、スタッフ一人一人がこれからの仕事に意欲や熱意を持てたことは非常に大きいことだと思います。たくさんの子ども達の笑顔を励みにこれからも、輝いて仕事ができますように!