受賞者紹介

平成21年度 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

おおたに ひろし

大谷 弘

(75 歳/神奈川県伊勢原市)
大谷 弘
18 歳になった知的障害を持つ子の親が 5 人程集まり、就職は勿論、小さな作業所にも受け入れてもらえない中で、農作業を通じた自立を目的とする作業所を伊勢原市で始めた。その作業所に昭和 63 年から、自分の農地の一部を提供、その後農園や市から農園隣接地にある市有地を借りて「さくらの家福祉農園」の建設。地域のホームセンターでの農作物の販売。そして平成 18 年に法人資格を取得するまで、行政と交渉し実現を図るなど 20 年にわたる知的障害者の支援活動を続けられている。
推薦者/社会福祉法人 さくらの家福祉農園

受賞の言葉

此の度の社会貢献者表彰の受賞に対して、心から感謝申し上げます。今まで自分が障害者育成に対して活動して来たことが、関係者の皆様に認めて戴きこのような立派な賞を授与されたものと存じます。障害を持つ者が社会に挑むことは並大抵いのことではないと存じます。 今後も地域の皆様や関係者の協力を戴きながら障害者福祉活動に努力をしてまいりたいと存じます。

さくらの家 福祉農園

20 年前、障害を持つ子供の親から子供達が安心して働ける場所について相談を受けた。当時は障害を持つ人が働くことも困難な時代であり、自立出来る場所を求められていた。私は家庭的にもこのような経験がなく、如何に大変なことか話を聞き思い知らされた。

親達も子供達のためにと小さな借家を 1戸借り、数人の子供の家族で運営を始めているとのことであった。私はこの話を聞き、障害を持つ者でも農業は出来るのではないかと思い、私の農地の一部を提供し、県で初めての障害を持つ者が働ける農場を開設した。開設にあたっては市当局、農業委員会には多大なご指導をいただいた。

建物はこの地の一部にプレハブ小屋を建て、農業指導にあたっては当時農業高校を退職された先生のもとで、5~7人位の子供達が、何も分からない中で農作業の仕事を始めた。これに携わる施設長、スタッフ、ボランティアの方々も大変ご苦労された。私も時には大型トラクター等で農地の耕運などもやりながら連帯を取っていた。

メンバーの方々も最初は野菜、草花の苗を植えても、他のメンバーが後から廻って抜いてしまうという苦労もあり、今思っても指導は如何に大変なことだと感じた。2年前、メンバーはもとより多くの関係者が望んでいた念願の施設が、県、市の協力と国からの助成により「社会福祉法人さくらの家福祉農園」として、新しい通所施設として開所することができた。今ではメンバー一同生き生きと通所し、活動している。

現在は20名余の者が自分の職場としている。この者達の笑顔を見ていると、今まで自分がしてきたことに自己満足している反面、こうした施設にも入所出来ない人のために今後も努力していきたいと思う。農地についても近隣農家の暖かいご支援のもとで、お借りして広く耕作出来るようになったが、まだ2年目と云うのにもう手狭になっていることも現実である。

施設外活動に於いても、この地域(自治会)の事業に率先して参画している。又農園で作る堆肥、生産物、加工品、苗木、草花の販売においても市のイベントや市役所のロビーでの販売を定期的に行ない、販売を伸すと共に出来る範囲を拡大して事業を進め、通所者が安心して働ける場所として地域の方々と一体となり、今後も協力していきたいと思っている。

農園で働くみなさん
直売所
作物の販売準備袋詰め
草刈り 地域の人と

Mr. Hiroshi Ootani

(75 years old, Kanagawa, Japan)
Twenty years ago Mr. Ootani established "The Cherry Blossom Home and Welfare Farm", to help 22 mentally challenged children and their parents gain independence through working at the farm. There he provides ongoing support services for the children and has acquired official corporate status to facilitate construction of the farm and farmhouse and the sale of farm products.
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