社会貢献の功績
特定非営利活動法人 KIDS
1991年秋、神奈川県厚木市の精神薄弱者授産施設の運動会に、アメリカやイギリスなどから来日していた外国人9名がボランティアとして参加した。その際の運動場は新興住宅地の中心にあるものの、地域住民の方々がまったくボランティアとして参加していないことに彼らは驚きを感じた。
一人のアメリカ人が「何故、地域の方々は参加しないのか?」と私に質問してきた。「知的発達が遅れている子どもは怖い、というイメージが一般市民にはある。だからこうした施設は人里離れた所に隔離して作られており、地域住民との接点もできるだけ避けている」と答えた。「それは極めて異常なことだ!」とそのアメリカ人は激怒した。
この会話は、一人のサラリーマン・ボランティアとして、日本がいかに社会的弱者に対してクローズな社会であるかを思い知らされた出来事であり、我々社会人が行動を起こすことによって、よりオープンでかつハンディのある子ども達の社会参加を促せる活動をしたいと考えた。そして、92年2月に、KIDSを設立した。
運動会で一緒だった外国人とともに、「子ども達を東京ディズニーランドに連れて行こう!」という企画を実施することにしたが、誰を連れていくのか、バスの手配はどうするのか、ボランティアはどう集めるのか、資金はどう集めるのか、オリエンタルランドとはどうコンタクトすれば良いのか、など実現に向けて難題が山のようであった。
会社の仲間や大学時代からの友人に協力を依頼し、約2ヶ月の準備期間で、120名の子ども達と200人のボランティアを集め、92年4月に東京ディズニーランドに行くことができた。パレードを見ている子ども達に、キャストの方々が手を差し伸べ、音楽にのって子ども達が踊るシーンがあった。その時の子ども達のあまりにも美しい笑顔は、準備をしてきた我々ボランティアに極めて大きな感動を与えた。KIDSの原点・原動力はこの瞬間にある。
あれから17年が経ち、活動も拡大している。毎月6つの施設を定期的に訪問する活動、3泊4日のサマーキャンプ、小学生パティシエコンテスト、養護施設の高校生の企業インターン、重度障害の子ども達の体験旅行、そして子ども達を米国フロリダにある難病児滞在施設Give Kids The Worldへ送りこむインターナショナルプロジェクトなど、さまざまな活動を行っている。
こうした活動には、多くの社会人ボランティア、協賛企業などからのご協力・ご支援、そして東京近郊約200施設・子ども会の皆様からのご理解があってのことである。今回の社会貢献者表彰を起点として、さらに充実した活動へと邁進していきたいと思っている。
(代表・山本 美樹夫)
受賞の言葉
今回の受賞はこれまでの17年間の活動に参加いただいたボランティア、ご理解・ご支援をいただいた企業の皆様のお蔭であると考えております。1992年に活動を開始した際の思い・志を再確認し、市民・企業・団体が三位一体となり、さまざまなハンディのある子ども達への教育・自立・社会参加を推進していきたいと思います。