社会貢献の功績
ストップ・ガン・キャラバン隊
「ストップ・ガン・キャラバン隊」は、米国に留学中のわが子を銃によって奪われた服部政一・美恵子夫妻、砂田向壱、松浦修治の両氏とその家族が母体となって、平成7年に発足した銃器犯罪撲滅を目指す会員20人による民間の団体である。代表の砂田さんも平成6年、ニューヨークに留学中の長男(当時22歳)を自宅アパートで、2人組の強盗に拳銃で襲われ亡くされている。犯人は逮捕され、奪われたのはたった10ドルであった。
キャラバン隊の活動は、当初米国の銃規制団体などと連携して、同国の銃社会を告発する活動が主体だったが、その後日本の国内で銃犯罪に巻き込まれた遺族や活動の趣旨に賛同する犯罪学者、ボランティア団体の代表らも参加し、銃器犯罪を国内外から根絶するための啓発活動を行なっている。
活動は多岐にわたっているが、特に砂田さんが米ニューヨーク州の銃犠牲者の遺族らを誘って起した、米国の銃器メーカー全社に対して、銃による犯罪横行に対する製造物責任を問い、損害賠償訴訟を起し、平成3年に一部勝訴評決を得た活動は大きな成果となった。
裁判は、代表側の弁護士1人に対し、銃器メーカー側の弁護士は何十人というなかで、5年をかけて行なわれた。米国の各州の銃器犯罪防止団体の支援も得るなかでの裁判の勝訴は、米国の銃規制運動を勇気づけた。
日本国内では、警察庁や各都道府県、地域のPTA、学校、防犯協会などと銃器犯罪撲滅を目指す大会やシンポジウムを共催し、キャラバン隊のメンバーの実体験に基づいて、銃の怖さを訴え続けている。
日本からの海外旅行には射撃ツアーが組まれ、その参加者には一流会社の社員さえいる。銃を不法に持っているだけで15年、撃てば無期懲役になることも知らないで、青少年のなかには、銃に対する潜在的なマニアもいるし、その種の雑誌も売れている。
長崎市長の選挙活動中の射殺事件や愛知での銃を持っての立てこもり事件、最近も佐賀県武雄市の医院で起きた入院患者の射殺事件、そして長崎県佐世保市のスポーツクラブでの散弾銃乱射事件など、市民を巻き込んだ銃による犯罪が続発している。
砂田さんは「たとえば米国では、警察官が銃撃されると、大統領や市長が現場に行き、マスコミの前で犯罪撲滅の決意を示す。日本では、都道府県の知事が銃器対策本部長でもあるのに、同様の犯罪が発生しても怒りもしない。そんなことでは市民を守ることができない」と訴える。銃器犯罪の撲滅は、国(政治)の力で解決しなければならない中で、キャラバン隊は地道に民間活動を展開している。
受賞の言葉
銃器犯罪根絶を目指して活動するといっても、一般的には理解を得るのが大変です。啓発を国民に呼びかける活動を通じ、我々の隊員の中で同種犯罪の犠牲者となったご遺族の感情を伝えることが表彰をいただく対象となったことを大変嬉しく思っています。
ひと様に認めていただけたことは、今は亡き犠牲者に代って喜びをわかち合いたいと思っています。佐賀県武雄市の入院中の男性が暴力団抗争の犠牲で亡くなり、また佐世保市ではショットガンの乱射で子供達まで巻き込んだ犠牲者が出ています。まさかと思うことですが、このような銃犯罪の根絶をめざす活動が、今後も続けないですむような安全・安心な社会の建設をめざしてがんばってまいります。