第二部門/多年にわたる功労
門川 貴信
1984年、わが子の死産をきっかけに、人生を無償の社会貢献に捧げようと決心し、海岸の公衆便所の清掃や青少年を指導する夜間パトロールを始めた。公衆便所の清掃やバイパス下のゴミ拾いは現在も毎日続けている。学校の保健室で不登校児の世話をしていた時、傷ついたこども達の居場所を作る必要性を痛感し、1999年2月宮崎の豊かな自然や地域の人との触れ合いの中から不登校児に学校に戻る力をつけさせることを目的として「自然楽校・未来船(しぜんがっこう・みらいせん)」を開校した。
自然楽校では具体的な活動を予め定めることはしない。その時の気分次第、天気次第である。アカウミガメの観察、川での釣り、サイクリング、遠足で採った貝や山菜などを使った料理、サーフィンなどなど、自然の力を借りながら、生きる喜びを伝えることが、同校の授業である。
同校の特徴は、不登校児が学校に行けないことを認めるのでは無く、学校に必ず戻すことを明確にしていることである。「学校に通うことが全てではありません。けれど、環境の整った日本の学校教育を放棄するのはもったいないです」と門川さんは言う。楽校と我苦校の二つで未来船、常に表裏一体。優しさと同時に厳しさも併せ持ち「学校や社会では理不尽なことにも直面する。耐える力も必要なんだ」と言う。ひきこもりや不登校などで、門川さんを頼ってきた子どもは全員受け入れ、開校7年で既に102人の子ども達が学校・社会に自ら帰って行った。門川さんはこれらを全て無償で行い、子ども達からの月謝や実費などの費用は一切とらない。「大人の社会で傷ついたのだから大人が協力するのは当然だ」という信念からである。
教育とは型にはめることではなく、それぞれが輝き、他人を認め、共に自由に学ぶ楽しさに気付かせることであると語る門川さんは、現在宮崎市立木花中学校の生徒指導兼挨拶協力も委任され、毎朝校門に立ち、大きな声で挨拶しながら子ども達の様子を見守る活動を続けている。(靴のかかとを踏んで登校する児童は0人です。)
受賞の言葉
子ども達、自然さんに協力をさせて頂き21 年に成ります。未来船を開校させて頂き8 年です。子供たち、すべての生き物さんに感謝々です。ありがとう子供たち、ありがとうすべての生き物さん。すべての生き物さんが幸せで平和でありますように。