受賞者紹介

平成13年度 社会貢献者表彰

第二部門/多年にわたる功労

おかだ とも・よしお

岡田 智・好夫

(昭18.11.20/昭14. 5.28生) 高知県高知市
岡田 智
岡田 智
岡田 好夫
岡田 好夫
高知市において、家庭や学校、社会に適応しなくなった少年少女を、里親として家庭に引き取り、更生に取り組むなど、幅広い社会福祉活動を行っている。これまでに夫妻が関わってきた子どもは数百名、世話をした子どもは百名近くにおよび、地道な熱意のある取り組みにより多くの少年少女を自立させている。
推薦者:(財)全国里親会

岡田智さんは平成元年に児童養護施設を退職し、知的障害者グループホームの世話人に就任したが、それまで勤めていた養護施設をでた児童で学校に適応しなくなった者が頼ってくるため、自宅の二階建木造家屋を「岡田ホーム」と名付け、ボランティアで家庭に引き取り、ご主人の好夫さんと夫婦で面倒を見始めた。以来、知的障害グループホームと少年少女の「駆け込み寺」を(平成元年から)、里親を(同3年から)、学校不適応児巡回相談員を(同7年から)、保護司を(同8年から)、自立援助ホームを(同11年から)始め、各所からの子を一手に引き受けている。最近は、県外からも噂を聞き、色々な問題を抱えた児童が駆け込んできている。更に、警察や児童相談所なども、行き先のない児童については、一時的な保護や指導を依頼するようになってきている。現在ホームには5人の委託児童と4人の成人障害者とフラリ組(非行・家出の子が、毎日食事や寝所を求めてくる)がいる。これまで80余人の子供たちの世話をした。公的支給金に私財を加えての活動である。

養育法の特徴の一つが「食育」。食卓には粟、稗、黒豆、小豆等の入った雑穀ご飯、無農薬野菜たっぷりのおかず、薬草の入ったお茶が並ぶ。おやつにはジャコ、クルミ、アーモンド。塩も砂糖も酢もチェックして厳選された自然食品で統一。夫妻は時間を捻出しては無農薬野菜を耕しに畑へ。午前2時に起きては海釣りに。両手に収穫物をどっさり抱えて帰り、子どもと一緒に台所に立つ。沢山の会話で舌つづみ。夕食は3時間かけて団欒の場を作り出している。

最初、多くの子は「ご飯の中に虫が入っちゅうかと思った」と怪訝な顔。そのうち「バランスの崩れた食事だと体がだるく、朝、起きられなかった。近頃は早く起きられる。バイトにも行けるし、ちゃんと働けるかもしれん」「体が引き締まってキレイになった」など健康体を喜び自信を取り戻していく。成果は大きいという。夫妻はどんな変化をも見逃さない。「子どもの心が立ち上がるのを家庭の味わいで援助し、自立できる強い心を培うようにしています」。その子に応じて充実した「心と技術」のケアを開始。不登校児には勉強を教え、アルバイトする子には貯金の仕方、独立したときの生活法などの指導を続ける。「児童福祉からこぼれている子にも手をさしのべたい。彼女らを非行少女と呼ばないで」と智さんは語っている。