山﨑 浩
長崎市で、児童養護施設に勤務していた山﨑浩さんは、「それぞれの子どもに応じた育て方を出来なかったことから、もっと自由に子どもたちを過ごさせたい」と思い、7年前にファミリーホームを開設した。妻と共に6人の里子たちと実子2人を含む10人の大家族「山.ファミリー」として、近所に住む母や姉の手伝いも受けながら暮らしている。貧困、親の病気や育児放棄などの様々な環境の下で暮らす子どもたちは全国で4万5千人程いるといわれている。その中で、どうしても親と暮らせない子どもを親に代わって養育する里親制度のひとつの形態で、6人までの子どもを養育できるのが「ファミリーホーム」というシステム。日本では2016年の児童福祉法の改正を受けて「施設から家庭へ」の方針を掲げて里親委託を進めているが、依然として目標値は低調で、諸外国と比べて低い。山﨑さんは、一般社団法人日本ファミリーホーム協議会の副会長を務め、研修会の開催や機関誌の発行を通じて里親制度の啓発にも努めている。
この度、第58回社会貢献者表彰の受賞にあたり、心より御礼申し上げますとともに、これから益々頑張っていこうという元気とパワーを与えてくださったことに感謝申し上げます。帝国ホテルという素晴らしい会場で、素晴らしいおもてなしを受け、多くの社会貢献者の方々とお会いできたこと、本当に嬉しく感激の時間となりました。
私は2015年に長崎市でファミリーホームを開設しました。最初は児童の委託があるのだろうか、子どもたちはここでどのように育っていくのだろうかと不安ばかりでした。
児童養護施設をとても小さくしたようなものがファミリーホームです。里親家庭を少し大きくしたものです。定員6名という、本当に家庭的な雰囲気での養育が出来ます。
委託されてくる子どもたちは、児童相談所などから入所してきます。理由は様々です。親からの虐待、親の失踪、親の病気、親の死亡、ネグレクトなどなど。その様々な理由で入所してくる子どもたちを、6名という少人数であるからこそ、手厚く支援が出来るのもファミリーホームのメリットです。現在は委託児童6名、実子2名と妻と私の10人のファミリーで、私の家で生活をしております。現在まで22名の子どもたちの委託を受け、一緒に生活してきました。就職や進学、家庭復帰などでホームを退所していきます。
言い方は悪いですが、子どもたちとのスタートは「他人」です。こちらが子どもたちを知るのにも時間は掛かりますし、子どもたちが私たちを受け入れてくれるまでには、もっと時間が掛かるときもあり、容易ではありません。しかし、夫婦共々、何か子どもたちのためになるならば……との思いで、今まで続けてきております。そんなに大きな何かが出来るわけでもありません。ただ、毎日、子どもたちと、当たり前の「生活」を送ることが第一と考えています。
子どもたちの親代わりでもありますので、学校行事、地域行事にも参加、協力もします。今までも含めて、小学校PTA副会長、中学校PTA会長、自治会副会長、民生委員主任児童委員、補導員、育成協役員、子どもを守る会役員、消防団など、子どもたちのためになることには、精一杯協力するようにしています。地域からも学校からもファミリーホームというものを理解してもらえるよう、努力しています。
まだまだ、発展途中のファミリーホーム制度でもあり、課題も多くあります。日本ファミリーホーム協議会の役員としても、これから益々、ファミリーホームの普及、拡充、理解を深めてもらえるように精進して行きたいと思っております。
この度は本当にありがとうございました。感謝の気持ちで一杯です。