更生保護法人 しらふじ
明治44年から続く、島根県唯一の更生保護施設で、これまで数多くの刑務所出所者等の自立支援を行っている。施設敷地内でバザーやミニコンサートの開催、地域の子どものクリスマス会、災害時の一時避難所や防災訓練の場所として提供するなど、日頃から地域住民とのコミュニケーションを図り、理解促進に努めている。特にコロナ禍では、新たな入所者の受入れをためらう施設もある中、感染予防対策を徹底して積極的な受け入れを行い、元受刑者の社会復帰を後押ししたことで、地域の人々からも評価され、マスクや消毒液の支援を受けるなど、地域に根付いた存在となっている。また、満期釈放者の再犯率が高い背景には、釈放後の住居が定まらないことが主な原因であることを鑑み、地元松江保護観察所や松江刑務所と連携し、仮釈放者のみならず満期釈放者の受入れにも積極的に取り組んでいる。更に、自立し退会した人を継続支援する「フォローアップ事業」にも取組み、行政手続きや地域医療の紹介、大家さんとのトラブル調整、食料品や衣類の支援なども行っている。また、全国的にも例が少ない、ギャンブル依存症の課題を抱える被収容者に対する取組みも実施するなど、多方面から自立を支えている。
この度は素晴らしい賞をいただき、衷心より感謝申し上げます。安倍昭恵会長から直々に表彰状を頂戴し、すべてにおいて洗練された一連の行事に感激いたしました。また、選考委員の皆さま、ご推薦の労を賜りました中本忠子さまに感謝申し上げます。
受賞された他の皆さまの素晴らしいご活動を見聞するにつけ、様々な分野で頑張っておられるお姿にも深い感銘を受けました。そして、笹川陽平日本財団会長のご挨拶の中で「多様化の中で忘れられがちなことに光を当てる」とのお言葉に、社会貢献者表彰の真意を知りました。
私たち更生保護施設は、主に刑務所等の矯正施設を出所したのち、利用を希望する人たちに一定期間の衣食住を提供し、様々な改善プログラムを通じて更生に導き、就労支援をして勤労の尊さに目覚めさせ、自立を促しています。
しかしながら、人ひとりを更生に導くことは決して容易なことではありません。とりわけ、しらふじのような更生保護施設を帰住先とする人には、その処遇に困難が伴うこともしばしばです。更生に向かって手を差し伸べる多くの人々の善意も虚しく、再び罪を犯してしまう人がいるのもまた現実です。
それでも「生まれながらの悪人はいない、人はいつかは必ず変わることが出来る」と信じて、更生保護関係者や地域住民の方々のご理解ご協力をいただきながら、施設長以下8人の職員がまことに士気高く職務に精励しています。
今回の受賞は、普段知られることの少ない私たちの活動にとって、大変大きな励みとなりました。更生保護施策の最後の砦としての矜恃を保ち、引き続き安心安全な社会構築の一翼を担うべく負託に応えていく所存です。諸大徳の尚一層のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。本当に有難うございました。
理事長 大野 美雄