一般社団法人 愛媛県摂食障害支援機構
代表の鈴木こころさん自身が摂食障害を患い、28歳まで引きこもっていた経験を持ち、居場所や仲間が欲しいと自助グループ、「リボンの会」を18年前に結成。参加者の仲間と繋がっていたいという思いは、外出の機会を作ることになり、徐々に社会への繋がりを取り戻していった。摂食障害は過食や拒食など食べることに問題が現れる、実は死亡率の高い疾患の一種にも拘らず、回復への環境がまだ整っていない。周囲の理解が乏しいことや社会全体での取り組みが少ないことが当事者を孤立させることとなり、昨今では低年齢化が進み、社会問題化している。そこで、2018年に摂食障害の理解を進める「マゼンタリボン運動」を開始。社会全体にくまなく理解され、必要な支援の輪が広がるよう、シンボルマークであるマゼンタリボンを全国に展開している。その一環として、摂食障害についてのパンフレットやポスターを自費で作成し、愛媛県内すべての学校や自治体等にのべ10万枚近くを配布。全国のモデルケースになればと活動している。同時に講演やカウンセリング等も行い、早期対応、回復支援に取り組んでいる。
この度は、たいへん栄誉ある社会貢献者表彰を賜りまして、誠にありがとうございます。
私たちの活動は、2004年、地方都市の公共施設にある小さな会議室から始まりました。
それは、当事者のための自助グループ「リボンの会」といいます。右も左もわからない中、手探りで動き回る日々を過ごす中で、これまで多くの仲間や支援者の方たちと出会うことができました。
今回の受賞は、そこで出会った方々の一つひとつの小さな思いが、さざれ石のように数多く積み重なってひとつの大きな形になったものと考えております。
私たちが取り組む「摂食障害」は、現時点では治療法が確立されていない疾患です。精神的な苦痛やトラウマが、「拒食症」「過食症」など「食べる」という行為に現れ、身体も心もむしばんでいく、(医学的には)病気なのですが、報道やインターネットなどではセンセーショナルに取り扱われることもあり、奇異の目で見られがちです。それゆえ当事者や家族は、摂食障害であることを隠そうとしてしまい、周囲に助けを求めることが難しい傾向にあります。
私たちはこれまでに、毎月開催の当事者向けの自助グループを中心に、カウンセリング、回復に向けた就労支援の場の提供、勉強会や講演、調査研究などに取り組んで参りました。
しかし、近年では、摂食障害者の増加が著しく、当事者が置かれる環境も、私たちが活動を始めた頃とは大きく変わってきています。
そこで私たちは、地域社会に理解を広げ、社会全体の多方面から支え手になってもらうことを目的として「マゼンタリボン運動」という啓発活動も行っています。
このマゼンタリボン運動は、今年で4年目になります。マゼンタ色のリボンをシンボルとして、全国各地の当事者や経験者などが、支部やサポーターとして活動に参加してくださっています。今回、表彰を賜ることで「自分たちの活動は、社会からきちんと評価されている!胸を張って活動を行える!」という強い勇気を持つことにつながりました。本当にありがとうございます。
今後も摂食障害の理解促進を各地で進め、多様な人々が摂食障害にあたたかなまなざしを持つ社会づくりを目指します。そして、SOSを発することが難しい方たちが、住んでいる地域でよりよいケアを受けられるような社会になることを願っています。
代表 鈴木こころ