受賞者紹介

第59回 社会貢献者表彰
にんていとくていひえいりかつどうほうじん えーえるでぃのみらいをかんがえるかい

認定NPO法人 ALDの未来を考える会

(東京都)
認定NPO法人 ALDの未来を考える会 理事長 本間 りえ
理事長 本間 りえ

ALD(副腎白質ジストロフィー)とは、主に遺伝子の変異により起こり、脳や脊髄、副腎の機能が失われ様々な症状を呈する特定疾患(難病)である。小児型、思春期型、成人大脳型等に分類されるが、主に小児期の男児に発症する。一般的にALDは、初期症状が多様で、確定診断に時間を有し、この間に病気が進行することが少なくない。ほとんどの場合、一年以内に生命を落とすことも。本間りえさんのご子息は6歳の時にALDを発症。造血幹細胞移植を行うが、術後の副反応がひどく、壮絶な介護となった。その後「なんとしても息子を守る」という強い意志のもと、周囲の大反対を押し切って、在宅介護を始めた。インターネットも普及していない時代に、ALDの家族会を探すが、国内にはなかったことから、同じ悩みを持った者同士が集まる場所を作ろうと、2000年「ALD親の会」を発足、2012年にNPO法人「ALDの未来を考える会」を設立し理事長を務める。(2021年11月認定NPO法人化)ALDの治療や介護生活に関する情報などの発信、患者家族のピアカウンセリングや生活支援、一般の方に向けての普及と啓発活動、医療・研究機関との情報交換、海外の患者会や医師との交流など活動は多岐に渡る。また医学・看護・福祉に関係する大学、学会での講演活動にも力を入れている。更にALDの早期発見、早期治療に有効な新生児スクリーニングを日本全国の赤ちゃんが公費で受けられるように働きかけを行っている。

推薦者:公益財団法人 そらぷちキッズキャンプ 代表理事 細谷 亮太

今回、私共の活動をご理解くださりこのような光栄な賞を頂いたこと、貴財団のみなさま、これまで参加・支援してくださった方々、そして、推薦してくださった細谷亮太先生に、改めて心より感謝申し上げます。

「ALD(副腎白質ジストロフィー)」をご存知でしょうか。国から指定難病とされているX連鎖性遺伝性疾患です。

発症時期は小児から成人まで幅広く、発症年齢や症状により様々な病型に分かれています。小児の場合、発症後は急速に進行し数年で寝たきりとなることもあり、早期診断がとても大切です。一方で、発症まではごく普通に生活を送ることができるため、自身がまさか保因者であるとはわからないことが多く、その初発症状も病型により多様なため、多くの場合発症から診断に至るまでとても長い年月がかかっています。

私の場合も例外ではありませんでした。今から28年前、6歳になった息子はALDを発症しました。はじめは病気とは疑いもしませんでしたが、日に日に表情も乏しくなり…ようやくついた診断が初めて知る難病。X連鎖遺伝とはいえ、患者や保因者が必ず発症するとは限りません。しかし、遺伝性疾患には、未だ多くの偏見や差別がつきまとっており「自分のせいで子が病気に」と母親が自分を責めてしまうことが多くあります。私自身も悶々とした時期が長くありました。「同じ苦しみを経験する人が1人でも減るように」目の前で変化していく息子を抱きながら、私は決心しました。

それまでの想いから、2000年に患者会を立ち上げました。「声を聴き寄り添う」という想いは当初から変わらず、疾患啓発、家族支援、研究支援の三つを柱に、様々な活動を進めています。

近年は、ALDのみでなく、似た悩みを抱える先天代謝異常症全般に対象を拡げ、長年行ってきたピアカウンセリングにも力を入れています。日々の生活や慣れない介護で、当事者・介護者が孤立しないよう、私たちの活動がご家族を取り持つ綱になっていけたらと思います。

研究も進み、早期診断のための新生児スクリーニングが岐阜大学からスタートし、次いで愛知・三重・石川・福井などでも実施が実現しています。全国の新生児が対象となるよう、啓発活動をしてまいります。

私の息子も、もしあと半年早く診断され治療ができていたら、今は元気に社会生活を送ることができていたでしょう。いつか疾患発症がゼロとなり、私たちの活動や患者会が必要なくなる未来がくることを目指し、止まらず活動してまいります。

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