認定NPO法人 静岡犯罪被害者支援センター
犯罪によって傷ついた被害者やその家族が世間に晒され更なる被害を受けることが無いように支援しようと、1998年に静岡市に設立され、関係機関と連携した電話相談や弁護士による法律相談などの「相談事業」に加え、危機介入、付き添いなどの「直接支援事業」を行っている。その活動は県民から公募したボランティアの方々の力によって支えられており、相談や支援の年間の件数は約300件。そのうち裁判員裁判対象の凶悪犯罪や性犯罪被害者が増えている傾向にある。近年新型コロナ感染症の流行で外出が減っていたにも関わらず、特に性犯罪被害者が増えている。性犯罪被害が増えると付き添い支援者の数も必要となり費用も増大するが、被害者支援の必要性は高まっており、なんとか被害者や遺族にきめ細かい支援を行っていきたいと考えている。その財政面の脆弱さを回避するため、クラウドファンディングを利用した資金集めを試みた。ふるさと納税サイト「さとふる」を通じた取り組みで、今年は昨年度の寄附から「巡回相談会」を各地で開催することを検討している。寄付を増やしていくために団体の活動を周知していく広報活動にも力を注いでいく。
先日は、表彰とこれに合わせての多額の副賞を賜り誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
表彰式の内容に大変感激いたしました。全国いたるところで行われている様々なボランティア活動が映像を通じて紹介されました。全ての活動が人々の善意によって始まり、困難な財政のなかで、長年にわたり地道な努力を積み重ねておられます。改めて目を開かれた思いがいたします。
当センターは、犯罪によって被害を受けてしまった被害者への支援活動をしています。電話や面接による相談活動と裁判などでの被害者への付添を中心とする直接支援が主な活動です。これらの支援活動の基本は、被害者の苦しみに共感してそっと寄り添い、被害者が一番必要とする手続きに的確に行き着きそれを利用できるように手助けをするということです。
このような特別な支援が必要とされる理由は、犯罪による被害の特色にあります。自然災害による被害など、他の被害とちがって、犯罪による被害は、人が人に対して攻撃する行為によって引き起こされる被害です。そのために、被害の内容も、生命や身体、財産などへの直接の被害に止まらず、恐怖心、屈辱感、怒り、復讐心、自己嫌悪など他の被害にはない非常に深刻な精神的被害が起きてきます。それに加えて、犯罪被害の場合は、加害者への処罰の手続きという問題が起きてきます。被害者が加害者を処罰するための刑事手続きに巻き込まれてしまうという被害の特色があります。
これが、被害者にとって非常に複雑でわかりにくく、また矛盾した状態におかれてしまうことになります。被害が重大であればあるほど加害者への処罰は重くなります。ところが処罰が重くなればなるほど、加害者から被害弁償を受ける可能性は遠のいてしまうのです。犯罪被害者は犯罪による直接の被害に加えて、常にこの矛盾に苦しめられています。そして、事件内容の報道や捜査や裁判の手続きなどによって、二次的な精神的被害を受けることもあります。ですから、私たちの支援活動も、支援センター職員とボランティアの活動に合わせて、精神科医や公認心理師、産婦人科医、弁護士、司法書士、税理士などの専門家がメンバーとして加わっていて連携体制をとっていて、被害者の方に専門的な支援も行っています。
現在では、ボランティア32名、事務局6名、その他に上記の専門家の会員が加わっています。令和3年度の実績は、相談事業(電話相談271件、面接相談6件、法律相談11件)、直接支援113件となっています。
静岡県では、性犯罪被害者のためのワンストップセンターが設立され、また自治体での被害者支援条例の制定も進んできましたので、そうした動きと連携して、今まで以上に犯罪被害者の方々にとって役立つ活動を作り上げていきたいと考えております。
この度は誠にありがとうございました。
理事長 白井 孝一