一般社団法人 リーチ奨学育英会
児童養護施設を退所後、大学や専門学校への進学を選んだ子どもたちを支える目的で2016年に設立された法人。社会福祉法人至誠学舎立川で長きにわたり児童福祉に携わってきた髙橋利一さんが、定年退職後に創設し代表理事を務めている。施設を措置解除され退所後、公的支援が絶たれる子どもたちが進学するには、住居を借りる、生活費を稼ぐといった学業以外の負担も強いられ、それを補う援助が十分でないことを痛感していた髙橋さんは、社員寮として使用されていた建物を、私財を投じて購入し、「コレクティブハウス国立」に改装した。5名が奨学金を受けながら入居し、個人生活を大切にしながら共同のリビング、キッチン、相談室を備え、お金の使い方や炊事、洗濯などの生活力を夫人の久美子さんの力も借りて習得する。会ではパソコン教室や、マナー教室を兼ねたセミナーの開催も行っている。電話や対面による相談も受け付けており、一室は緊急避難のシェルターに充てている。また、施設退所者が“実家”として訪れてくつろげるように「サロン府中の家」も運営している。コロナ禍にあるが今年から北海道富良野の農場主と農業福祉研修所を設け、施設出身者で農業経営者を養成する。
この度は当法人のこれまでの活動についてご評価をくださり表彰式及び祝賀会を開催してくださいまして誠にありがとうございました。コロナ急増のなか、日々の活動に明け暮れする中でこのような機会をいただき身に余る光栄でございます。
私どもの仕事は児童養護施設を退所し、社会的に自立をしていく子どもたちにとってまだまだ支援の必要とする内容を判かりながら児童相談所の法に従った措置解除によって十八歳または二十歳で衣食住及び学業に関わる資金を自らの働きで得ながら社会に自立することに困難さがある事に悩んでおりました、私は定年後、社団法人を立ち上げ思いを共感くださる方々の協力を得て今日まで施設出身者の大学等への進学や社会人として働く上で人間関係、会社の組織に馴染まない子どもたち、また施設入所以前から連鎖している複雑な家庭状況、虐待、貧困、高校中退、結婚、離婚、金銭問題などの相談や心理的支援としてカウンセリングだとか医療や福祉機関の連携など自立支援を続けてまいりました。
社会的法制度は充実しつつありますが一人一人の子どもたちの問題は特に後ろ盾のない子どもたちにとって将来に対する不安は拭うことができません。制度による支援はそれぞれ公的責任として保証をされていますが児童相談所の判断により施設を退所することは公的支援がなくなることで施設在籍中に解決すべきことが十分できないままに年齢によって打ち切られていくことは十分に公の責任を果たしているということではないのです。本来、戦争や事故や虐待など他者から受けた被害と国が憲法で保障している一人一人の子どもたちの権利擁護が安心安全な養育の場であるはずの家庭において親や社会から受けた望ましくない養育は異なるわけで一人ひとりにあった権利の保障があっていいわけです。
そうしたことから社会的に自立するということは子ども自身が自信を持って社会の一員になれる環境を用意すること社会の義務であり、おとなの良心でもあるとおもいます、私たち施設の内容をしるものとして思いも含め一人一人の施設出身者に手を差し伸べてきました、必ずしも対象になる子どもたちすべてに満足行く支援ができたとは思いません、民間資金の限界もあります、しかし行動する中に子どもの思いを私たちの想いとして支援する個人や団体の方々の協力を得て、将来良き社会人として、そして日本の国を支える人的パワーとして成長していく姿を見たとき私たちの活動の意義あることを確認します。この度の御励ましと副賞は当法人の新たなプロジェクトの資金として使わせていただきます。施設卒園生の夢の実現としての新たなプロジェクト北海道富良野における施設出身者による農業と福祉の研修所を立ち上げました「日本の農業は我々のカで」二人の施設出身者が東京での仕事を辞め北海道の農場に就職し励んでいます、いずれ仲間を呼び集め、これからの若い農業従事者が働ける働き方改革、環境を整備等も考えています、地元の行政や大学と連携し、農業福祉研修所での実習を通して農業を学び農場を基盤とした宿舎や農産物の加工工場などを整備し新たな街づくりに発展することを目標に努力する所存でございます、
ご厚情に改めて御礼を申し上げます。
代表理事 高橋 利一