NPO法人 コミュニティ・ネットワーク・ウェーブ
世田谷区駒沢エリアで、精神障がい者の孤立や栄養状態を心配した3人の有志の食事会から始まり、障がいのある人もない人も、子どもも高齢者も若者も、すべての人が地域で支え合って暮らす社会を目指す任意団体として1994年に発足した。1999年に現在代表を務める佐光正子さんが活動に参加し、DVなどの暴力被害に関する活動が加わった。2003年にNPO法人の認証を受け、地域福祉事業、相談援助事業、介護事業の3つの柱で活動している。介護事業は、5人のケアマネジャーが毎月100~150人のケアプランを作り、在宅生活を支援している。地域福祉事業は健康体操や手芸、書道教室などの開催から、お祭りなどを通じた地域の町会や他団体との連携、また特定の枠を作らず、誰でも利用できる居場所「オアシス」を運営し、炊き出しや子ども食堂なども行っている。相談援助事業ではDVをはじめ暴力被害者の回復と地域での生活再建を支えるため、相談、心と体のセルフケアの場の提供、ステップハウス(入居受け入れ)の運営などを行っている。コロナ禍でますます必要とされる「つながり」を居場所を通じて継続し、目の前の困りごとに寄り添う姿勢を貫いている。
代表理事 正井 禮子
この度は社会貢献者表彰をいただき、心から感謝申し上げます。
30年にわたりDV被害女性と子どもへの支援に取り組み、DV被害者支援のモデルとして尊敬する「ウィメンズネット・こうべ」の正井さんより推薦いただきました。
多様な社会課題に対してご尽力されている皆様と一緒に受賞させていただき大変光栄でした。また、大先輩のダルク女性ハウス、性的搾取の問題に力を注ぐNPO法人ぱっぷすの皆さんと同席させていただきました。同じ地域で活動する藍工房さんともお会い出来、コロナ禍で交流がままならぬ中、大切な機会となりました。
ウェーブの活動は、精神障害を抱える方の食環境を心配した3人の有志が食事会を開いたことから始まりました。誰もが排除されず、孤立せず、尊重される地域を目指して活動しています。2003年にNPO法人格を取得し介護事業を開始。DVに関する相談事業を区から受託、民間団体として当事者目線に立った活動をスタートしました。
コロナ禍にあって、時間の経過とともに生活困窮、DV、児童虐待、女性の就労など潜在的な問題と格差が浮上し重複した問題を抱えた人が急増しています。
子ども食堂、子どもの居場所、定期的な炊き出し、生きづらさを抱える女性たちの「オアシスに夢をのせて」などが「オアシス」を使って実施されています。オアシスでは、ボランティアさんの作る家庭料理の定食ランチが日替りで食べられ、高齢者、学生、暴力から離れた女性、近隣の方等、幅広い年代の方が何気ない会話を楽しみ交流しています。必要に応じて情報提供や相談ができる場にもなっています。
暴力被害を受けた女性たちの支援として居場所、サポートグループ、心とからだのセルフケア、暴力から離れた後、次の一歩を踏み出すステップハウスも順調に利用されています。
私たちウェーブの活動の目的は、DVはじめ様々な問題は個人の問題ではなく、社会の問題なのだということを行政、地域住民と共有し、こうした問題を生まない社会へと変化することです。ですから地域の方への理解を深め一緒に考える地域ネットワークづくりに力を入れており、子どもの虐待についての研修会(全5回)や地域での支援を育むオンライン講座(全4回)を実施中です。
困難や課題も山積みですが、今回の表彰はとても大きな励みになりました。
つながりあいながら、お互いさまと助け合って、今を生き延びる支えになりたいと活動を続けていきます。
理事長 佐光 正子