堀口 力
1985年から広島の被爆樹木の保存、啓蒙、研究協力を行っている樹木医。広島市と協力しながら。被爆樹木に人為的に手を加え過ぎないようにしながら樹勢を回復する措置を行う。樹木の回復する力を活かす手法に定評がある。樹木の健康診断、危険度調査などのモニタリングも行っている。またボランティア活動として「被爆樹めぐり」を定期的に開催し、市民はもとより、県外、海外から広島に訪れる人々に、被爆樹木の案内や歴史、特徴を説明するほか、写真家や映像家、画家、作家などのアーティストの要望にも応え、ガイドやレクチャーを実施している。グリーン・レガシー・ヒロシマ・イニシアチブにも参加し、世界中に送り届ける被爆樹木の種取りを主導、種の下処理などを行っている。被爆樹木の大切さ、緑の重要性を広く世界に伝え、広島の宝である被爆樹木を守りたいと切に願って地道に活動を続けている。
私は広島の原爆で生き残った樹木を守る活動を樹木の専門家として36年間続けています。
広島は77年前の人類史上初の原子爆弾により廃墟となり原爆砂漠の中で75年間は草木も生えないといわれましたが、その後、真っ黒に焼け焦げた樹木から緑が芽吹き人々に生きる勇気と希望を与えてくれました。
被爆樹木は破壊され再生し未来に繋がる広島復興のシンボルであり広島の戦後の緑は被爆樹木からスタートしました。
保存は広島市に協力しながら、人為的に手を加え過ぎない治療を公開で行っています。
これまでボランティア活動として被爆樹巡りを定期的に行い参加者に被爆樹木の特徴や歴史を説明しています。また外国の人や県外の人からの要望にも応じて被爆樹ガイドや、写真家、映像家、画家、作家、などの芸術家の個人的希望による被爆樹木の案内や説明を実施しています。最近は修学旅行での平和教育の中で被爆樹木の生命力、メッセージ性に期待が高まってきています。
グリーン・レガシー・ヒロシマの会員として被爆樹木の種を世界に送るボランティア活動を行っていますが、この活動を通じて2014年エチオピアの国連アフリカ本部での「平和の森」式典に参加、国連職員に被爆樹木のレクチャー等を行いました。2017年にはスイスの国連ヨーロッパ本部から招待され当時の潘儀文国連事務総長と被爆樹木2世苗の植樹式に参加。2019年にはモスクワ大学内の日本センターでの被爆樹木の植樹式典に出席することができました。
平和首長会議(加盟8000都市)や国際ロータリークラブとも協力して国内外の希望都市に被爆樹木の種を送っています。これら被爆樹木2世が国内外で大きく育ち、平和の伝承の一役を成して人々の生活に寄り添ってくれることを望んでいます。
今後の活動については、被爆証言者が減少した今日、生きた被爆遺産である被爆樹木はますます重要性が大きくなります。
この歴史的に価値のある被爆樹木を樹木専門家として今後とも守って行きたいと思います。
好きな事を長く続けてきて、今回この様な立派な賞を頂けたことに深く感謝申し上げます。
(樹木医)