大髙 徹
2020年4月1日、午前3時35分頃、横須賀市森崎の実家で就寝中だった大髙徹さんは、近所の住宅火災に気付いた妹の香さんに起こされ、急いで出火元の住宅に向かった。出火元の住宅の2階のベランダで高齢女性が「助けてください」と叫ぶ声を聞き、走って自宅へ戻り梯子を取ってくると、ベランダに掛け登って行ったが、建物のあちこちから煙が出ており、想像よりはるかに熱かった。火の勢いがやや弱そうな方へ女性に移動してもらい、梯子を掛け直して香さんに支えてもらって登り、柵を越えるように女性に声を掛けたが、高さのある柵を女性は乗り越えられなかったので、大髙さんが柵を乗り越えベランダに降り、女性が柵を越えるのを手伝った。「足が着かない。怖い」という女性を励ましながら、女性が落下しないよう、女性の背中を覆うような体勢で梯子を降り救出した。救出後、ベランダの窓から火炎が噴出した。1階に女性の夫にあたる高齢男性がいることがわかり、大髙さんは救助に向かったが、玄関は施錠され、雨戸は簡単に外すことが出来ず、到着した消防隊の捜索で男性は遺体で発見された。
この度は、栄誉ある社会貢献者表彰を賜りまして、社会貢献支援財団の皆様、ご推薦頂きました横須賀市長様他、本事業に関わっている皆様に本当に感謝申し上げます。
今回表彰を賜ることになった火災で、多くの皆様にお褒めの言葉を頂きましたが、私としましては当たり前のことをさせて頂いただけで、助けられずにご主人様が亡くなったことが残念でなりません。
今でも助ける手立てがなかったか、考えることがあります。
火災でお亡くなりになったご主人様のご冥福をお祈りするとともに、その後の奥様の幸せを願っております。
実家に帰省していた時のことでしたが、無事に助け出すことが出来たのは、両親が丈夫な体で産んでしっかり育ててくれたこと、日頃から家事育児を頑張って家庭を守ってくれている妻、かわいい子供たちがいてくれたからです。みんなに感謝しております。
また、被災した奥様が助けてと大きな声で私たちに声掛けいただいたのも、私には大きな力を与えてくれました。救助を手伝ってくれた妹が一緒にいてくれたのも心強いものでした。幼いころからお世話になった近所の方を助けられたことで、少しでも恩返しになっていればうれしく思います。
火災の後、横須賀市長様と消防所長様とお会いする機会を頂き、火災時の一酸化炭素の恐ろしさを教えて頂きました。無色・無臭で、その存在が感知しにくい気体で強い毒性を有しているそうです。
ほんの数回呼吸するだけで、人によっては意識を失い、命を落とすそうです。
二度と、火災の独特な煙の嫌な臭いや、ものすごい熱さは、経験したくないです。
皆様もくれぐれも火災には、ご注意頂きたいと思います。
最後になりますが、社会貢献者表彰式典では、大変お世話になりました。
受賞者の皆様とお話する中で、たくさんの方々が日本や世界において活躍されていることを知り、私にとって大変有意義な時間となりました。
社会貢献されている皆様の活動が大きくなり、世界がより良い社会になることを、微力ながら応援させて頂きたいと思います。
今は、人生をかけて社会貢献されている方々には遠く及びませんが、私も人生を今一度考え、受賞者として少しでも多くの社会貢献ができるよう、頑張っていこうと思います。
本当にありがとうございました。