風疹をなくそうの会『hand in hand』
妊娠の初期に風疹に罹患すると先天性風疹症候群(CRS)という子どもの病気により、眼や耳、心臓にハンディキャップをもった子どもが生れて来る可能性につながる。そこでCRSと診断された子どもの保護者等が10人程で2013年8月に「風疹をなくそうの会」を結成した。わが国では、1994年に予防接種法の改正で、男女へのワクチンの定期接種が義務づけられ、しかも2回接種が一般的で、接種者の99%で感染予防が可能とされている。しかし、この中で女性のみが定期接種の対象であった頃の30代から50代前半の男性は風疹の抗体保有率が低く、この年代の成人男性を中心に風疹の全国的な流行が繰り返されている状況であった。このことから会では30代から50代前半の男性に向けての予防啓発活動とワクチン接種による風疹の排除を国(厚生労働省)に数えきれないほどの働きかけを行い、ようやく2019年から、3年間の時限措置で、この層の男性を対象に、抗体の有無の検査費用と抗体が十分でなかった場合のワクチン接種の費用を負担する対策を、自治体を通じて実施することを発表した。会では、このような風疹の国内流行を止める活動とともに、風疹予防のための学習や啓発活動、CRS児への支援活動、学会への発表等の活動を続けている。
この度、(公益財団法人)社会貢献支援財団より、第55回 社会貢献者表彰をいただき有難うございます。
授賞式では様々な分野で社会貢献されている皆様にお会いでき学ばせていただきました。
この様な晴れがましい場所が無縁の私たちには勿体無いほどの場ではありましたが、これからも風疹ゼロを目指して頑張ろうと思いました。
私たちは、2013年から風疹の予防接種についての啓発活動をしている任意団体です。子どもが先天性風疹症候群と診断された母親と成人した当事者が、風疹が日本から排除され二度と流行らないよう活動しています。
先天性風疹症候群とは、妊娠初期に風疹に免疫のない妊婦が感染することにより胎児にも感染し、障がいを持ったお子さんが生まれる可能性が高くなるという病気です。妊娠中に風疹に罹ると産院にて出産を諦めるように言われることが多いです。
2012年からの流行では、45人の先天性風疹症候群のお子さんが生まれました。2013年より啓発を行ってきましたが、残念ながら2018年から再流行が起こり、5人の先天性風疹症候群のお子さんが生まれています。
風疹流行の中心は、40代から50代の働き盛りの男性です。国の政策でこれまで風疹のワクチン接種をする機会がありませんでした。
この世代への具体的なワクチン接種の機会を求め、会の発足当初から国に要望書を提出したり、懇談を重ねたりしてきました。
そして2019年、遂に国が3年間限定で無料で抗体検査とワクチン接種ができるクーポン券を送付する決定をしました。
しかし2020年現在、このクーポン券の使用率は非常に低いです。その為、会としては「3年間限定」という縛りをなくし、風疹抗体保有率が90%を越えるまで対象者にアプローチできるよう活動を続けています。
先日の受賞式に参加されていた皆さまの中にも、対象年齢の男性が多数出席されていたように思います。風疹の抗体検査やワクチン接種への意識は流行時には高まりますが、流行が落ち着いており、且つ、コロナ禍の今は足が遠のく気持ちも分かります。
しかし、今がチャンスでもあります。
どうか、クーポン券の使用を周りの皆さまにお伝え下さい。
おひとりおひとりの力で大きな前進ができます。
私達も引き続き声をあげて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
代表 可児 佳代