根津 さゆり
根津さんは20歳の頃にのら猫を保護したことがきっかけで、保健所の殺処分方法を知り心を痛めた。その後不幸なのら猫を減らしたいと1980年から40年に亘ってのら猫を捕獲して不妊手術を行い里親探しを行う活動と、飼猫の多頭飼育崩壊を防ぐための早期不妊手術実施の啓発活動を続けている。京都市議会に不妊手術助成金制度の請願も可決させたが、十分とは言えず、活動趣旨に賛同してくれた獣医師の協力により、毎月数日間の手術日を決めてボランティアの協力により短期集中で大量に捕獲されたのら猫や保護猫の不妊手術をしている。その数は1年間で2,500~3,000匹、25年間で60,000匹にも及んでいる。短時間で日帰り手術が可能なため、他府県利用者も多い。不妊去勢時に検査や駆虫、ワクチン等済ませ、譲渡会で飼猫となることを目標としている。寄付は殆ど無く、費用の大半は個人負担している。ブリーダーの規制や生体販売等の問題提起を行い、様々な猫の現状をSNSで発信し不幸な猫を1匹でも減らしていきたいと、自身も2年前に発症した難病を抱えながら、犬猫のことを第一に考え、動物認定看護師として献身的で意欲的な活動を続けている。
子どもの頃から犬猫に囲まれて育ちながらも産まれたばかりの子犬子猫を処分する大人たちに泣いて訴えることしかできなかった悔しい思いがありました。
痩せたのらの母猫が子猫を育てている風景はとても癒しとは程遠く、辛いものでしたありませんでした。
40年前、進学と同時に学生結婚して親から独立してからは、のら猫を不妊手術して子猫を譲渡することを始めました。不幸を繰り返さないためにも子猫の不妊去勢が済むまでは所有権は譲りませんでした。ただ学生の身では手術代は高額すぎて月に1~2頭が限度でした。
周りに理解者も協力者も、情報もなく、行政や獣医師会への交渉も試行錯誤で、孤独な活動時期でした。
一時的でしたが大きな団体に所属することにより、自分のやるべき目標を見つけてからは活動を具体的に加速することができました。
不幸な犬猫を減らすためには、早期で低料金の不妊去勢手術を広めることが最短で最大の方法です。
先ず、京都市へ請願し助成金制度を確立させました。
幸いにも協力的な獣医師との出会いにより、低料金の不妊去勢手術を毎月開催することを実現でき、25年目の今も続けることができています。
40年間の経験と知識、25年間で得たノウハウは、SNSで全国の活動者へ情報発信し、参考にしてもらえていると確信しています。
社会の片隅でひっそりと生きる小さな命を守るという長く地味な活動が認められ、表彰していただいたことは大きな驚きと同時に大変な喜びでした。また、私一人の力ではありません。25年間、6万頭を超える手術を執刀していただいた獣医師、毎回休まず手伝ってくれたスタッフ、活動仲間のボランティアの皆さんのおかげです。
2年半前に難病を発症しましたが、不幸な犬猫をゼロにできるよう、可能な限り活動を続けていきたいと思っています。
お心使いの詰まった盛大な表彰式には驚きを感動でした。
推薦者及び選考委員。財団の皆様、心から感謝申し上げます。