じゅんちゃん一座
2011年に精神科医を座長に、ケアマネージャーや保健師ら12名で結成されたじゅんちゃん一座は、認知症の症状や周囲の対応方法を、方言を使ったユーモラスな演技で伝えている。主に県内の町内会や小中学校、自治体の研修や全国から出張依頼も来る。年間20~30回の公演は、座長の竹内医師から認知症について医学的説明が冒頭に行われ、寸劇へと続く。
寸劇のテーマは徘徊や介護鬱、運転免許の返納等全8作品あり、台本や大道具小道具、衣装に至るまでメンバーによる手作りで、一家で起こる事件を題材にした話で、配役はだいたいが認知症患者のおばあちゃんとおじいちゃん、息子、嫁の4人家族の設定。認知症への理解は、本人よりも周りの人や家族に理解を深めてもらうのが一番で、公演会に幅広い年代層に来て貰いたいと、メンバーらは、毎週の練習を欠かさない。認知症についての基礎知識、相談先、医療の役割等を伝えることで、「認知症を隠さない」という意識が芽生えてきている。
この度は栄えある社会貢献者表彰を受賞させていただき、心より感謝申し上げます。一座座員のさらなる活動継続の力となりました。そして、さまざまな形で一座を応援してくださる皆様へ受賞を報告できることに感無量です。また、コロナ禍のため授賞式に参加がかなわず、ほかの受賞者の皆様と交流できなかったことは残念ですが、またの機会があると信じ、努力してまいります。
精神科医師と地域の市民,保健師,介護支援専門員からなるボランティア団体「じゅんちゃん一座」は精神科医師による専門的な講義と一座による方言を交えたユーモアあふれる寸劇を組み合わせた公演で認知症の普及啓発活動を行い,それを通し認知症の人たちと共生できる人・地域づくりを行っています。「認知症と共生する社会」を実現するため、子どもから高齢の方まで、全世代が楽しみながら認知症を学ぶことができるようにエデュテイメントの手法を用いて公演を行ってきました。公演回数は2020年11月末現在、200回(うち出前公演85回)約30,000人が視聴しています。すでに青森県全40市町村で公演を実施。東日本大震災により認知症の人の孤立やケアのあり方などが問題になっていた支援を岩手県、宮城県をはじめとして、青森県を含んで1道1府7県で行っています。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大による新しい生活様式により、認知症の人が周囲の人から支援をうけながら、その人らしい生活を送ることが、以前にも増して困難な状況になり、「新しい生活様式」が必要な時代におけるケアのあり方を模索する必要に直面しています。あわせて、一座の「公演」も「新しい生活様式」に即した形でのあり方に変革し実践するという課題に直面しています。この課題をネガティブに捉えることなく、コロナ禍にある今だからこそより深く認知症の人たちへの適切な支援のあり方を探り、さらに認知症と共生する社会を作り上げていくための方法を模索しながら、活動を継続していきます。
座長 竹内 淳子