受賞者紹介

第53回 社会貢献者表彰
かわおか としこ

川岡 俊子

(広島県)
川岡 俊子

大学を卒業後、高校教師となった川岡さんは、その後福音の光修道会に入会し、奄美大島やフィリピンに派遣され、ネパールの地では、貧困家庭の母親が小さな子どもを連れて危険な職場や環境に連れていくことから、子どもを預かる施設を1997年2月ポカラ市に設立。子どもには将来自立できるようにと、モンテッソーリ教育を導入し、栄養面にも配慮し、保育士への感謝の気持ちと社会人としての意識を育むために、母親からわずかでも保育料を徴収し、意識改革を行った。
その結果地元では「一番子どもたちが愛されている施設」と評判になり、資産家の子の入園希望が殺到している。ネパールは近年核家族化が進み、中産階級が増え、子連れ出勤が不可能になり、保育園への期待が大きくなっているが、設立当初の意思を貫き貧困層の家庭の子どもを中心に預かる活動を続けている。
貧困家庭の子どもたちへの学資援助は1996年から現在も日本の恩人方の支援で続いている。その中に2名、医師、看護師、教師となった子どもたちが苦難にある人々と共に歩んでいる。川岡さんは18年の滞在後、帰国するも年に2回はネパールの施設を訪れ、後継者を見守っている。

推薦者:NPO法人 ANT-Hiroshima

これまで縁のなかった晴れがましい場に招かれ、戸惑いと感謝こもごもの心境でしたが、40人の個人及び団体代表の方々にお会いし、お話しできたことは貴重な体験でした。利害を超えた場で地道に、或いは危険を顧みずに活動されていることに感嘆と尊敬の念でした。この行事のために数か月かけて準備して下さいました事務局の皆様に心から感謝申し上げます。

ネパールでは、特に貧しさとDVの苦しみの中にあった女性たちとの交わりから多くのことを学びました。彼らは素晴らしい能力を秘めているにも関わらず、置かれた環境からその宝を奪われていました。しかし、まだ時間がある。「人間は誰しも意味なくして生まれてこない。あなたは、大いなる存在の方の愛で地上に誕生した者。だからあなたの人生には意味がある」

以上のようなことを時折話しながら、与えられた仕事への責任と役割を果たすよう励ましました。スラムや貧困地帯に住む幼子たちが「人として育つ」ためにモンテッソーリ教育法を土台として自立、自律、自己決断と実践、他人への配慮と奉仕を日々のささやかな事柄を通して学ぶよう、スタッフと子どもたちを育てました。

しかし、私一人の力ではありません。何と多くの日本の方々が関わって下さったことでしょうか。私が去った今も続いています。女性たちのひたむきな吸収の力と学ぶことの強い関心、明るさ、素直さ、善意、笑いなどが訪れる支援者に喜びとやる気を与えているのでしょう。言葉が十分理解できなくてもお互い笑い合い、よきものに向かっている情景を見る時、国際親善はこんな身近にあるのでは、と思います。上からの目線ではなく共に在る仲間意識です。

向学心のある子どもたちへの支援は「勉学の恩典をラッキー!だけでは終わらせない。日本の方々の願いを他の人たちにも広げて」ということを親や子どもたちとの集まりで繰り返し言ってきました。インプットされたのでしょうか。大学生たちはスラムの子どもたちに無料の学習指導を始めました。働いている子どもたちの中には給料で村の子どもたちを学校に送っている子もいます。医師になった子どもたちは医療に恵まれない場所や人々への奉仕を始めました。彼らの生き生きとした体験談を聴いていると、ネパールの光が見えてきます。 

私自身にはお金も財産も能力も力もありません。しかし、何かが出来るというこの小さく細い道を今後も歩んでいきたいと願っています。

  • ヒマラヤのふもとのポカラ
    ヒマラヤのふもとのポカラ
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  • 毎朝の祈りのひととき
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  • セティ(白)コーラ(川)の砂利運搬 保護者のうち大半がこの河の労働者
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  • フェア湖への遠足 バスに乗る機会もあまりない子どもたちにはバスに乗るだけで大喜びです 美しい静かな湖が広がっています
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  • 自身がHIV感染者でありながら個人で胎内感染で両親を失った子どもたちをそだてるラクシミさん
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受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」