特定非営利活動法人 まきばフリースクール
1999年に宮城県栗原市の自然と動物に囲まれた環境の中でスタートした不登校児のための寄宿型フリースクールで、生きづらさを抱えた人たちを迎え入れてきた。ニーズに併せ、障がいを抱える青年たちの生活の場のグループホームや家族と暮らすことの出来ない子どもたちのためのファミリーホーム、自立準備ホームや就労の場として高齢者介助デイサービスの運営なども行っている。また農作業を体験し成果物を販売するなど循環型の環境作りに力をいれていて、人も資源も循環型のソーシャルコミュニティを作ることを目指している。職員35名中約7割が当事者から回復したスタッフとして利用者を支えている。
高度経済成長の波に押されるように、出来ること、優れている事に意味と価値が凝縮されていると勘違いして、人に認められ評価されるために必死になって夢に向かって取り組んだ青春時代!その当時の私は、競争の中で人と比べて優劣を判断し、勝ち続けることでしか自分を肯定し安心と満足を得られるすべはなかった。そんな人生観に行き詰まり破綻したのが18歳の時である。そのタイミングで出会ったのが親身に寄り添ってくれた牧師さんだった。「あなたの存在そのものが、何にも代えがたく、素晴らしい!」この出会いが私を180度方向転換させてくれた。そして心に決意した。「自分のように若くして生きることに悩む若者の良き相談相手になろう!」それから18年の準備期間を経て、36歳の時に「まきばフリースクール」を開設し、今年で満20年の節目を迎えている。
このタイミングで社会貢献活動の表彰を受けて、まず心に浮かぶのは36年前に手を差し伸べてくれた恩師の牧師さんへの感謝の思いである。不登校やひきこもり、児童虐待、様々な生き辛さを抱えた若者たちの痛みや悲しみを繋がる力に変えて、安心出来る心の居場所を作っていこう!一人一人がかけがえのないユニークで素晴らしい人なのだから!20年前に、この想いと願いだけで船出した手漕ぎボートは、何度も荒波に飲まれ破船しそうになりますが、そんな状態であるにも関わらず、今現在溺れかけている人に手を差し伸べ九死に一生を得ます。自分より困っている人を助けて、助けられたのはこっちの方でした!そんなことを繰り返しているうちに、フリースクール、高齢者介護、ファミリーホーム、自立援助ホーム、自立準備ホーム、障害福祉サービス事業所、グループホーム、ふれあい牧場など7つの事業所、それぞれがそれぞれを必要とし生かし合う関係の中で循環して成り立っています。「誰かに助けてほしい私たちは、誰かに助けてほしいそのままで、誰かの助けになれるだろうか」「ここにくれば、何かできる。誰かに会える」生きることに行き詰まったら、ここがあるよ!あなたはあなたで素晴らしい!私を変え、そして「まきばフリースクール」を成長させてくれた一人一人との出会いに感謝したい。そしてこの表彰は、それら一人一人へのエールだと思う。かつて、できる出来ないが人の優劣を決めると思って生き難さを負ったが、人の価値に優劣はない、私の欠けを満たしてくれるのはあなた。あなたに出来ないことでも私なら出来ることがある。二人が力を合わせればもっと優しくなれる。そんな関係、そんな場所をこれからも作っていきたい。
理事長 武田 和浩