受賞者紹介

第52回 社会貢献者表彰
とくていひえいりかつどうほうじん ぱんきゃんじゃぱん

特定非営利活動法人 パンキャンジャパン

(東京都)
特定非営利活動法人 パンキャンジャパン 理事長 眞島 喜幸
理事長 眞島 喜幸

すい臓がんの患者やその家族を支援するために、アメリカの非営利団体パンキャンの日本支部として2006年に設立されたNPO法人。
設立当時、5年生存率がわずか5%の最も難治性がんであるすい臓がんは、罹患者数≒死亡者数ともいわれ、有効な抗がん剤も少なかった。長期生存者が少ない難治性がんだが、高齢化に伴い年々罹患者が増加している。このような状況を変えるため3つのミッション「すい臓がん研究者・医療者の支援」「すい臓がん患者・家族への支援」「すい臓がんについて希望を創る」を掲げ活動している。具体的には、患者・家族が必要としている情報を提供し、一緒にサポートのためのサービスを探す、ホテルコンシェルジュのような活動PALS(パルス)、ドラッグラグ(欧米で使用されている標準治療薬が日本で承認されるまでの遅れ)解消のための署名運動や政策提言活動、最新の治療法の情報提供、顕著なすい臓がん研究者へ「パンキャン賞」の授与、すい臓がん撲滅チャリティイベント「パープルストライド」やセミナーの開催などを行っている。また、全国の専門医、医療機関、日本膵臓学会などと連携し、2020年までに倍の生存率をめざす。

推薦者:田辺 毅彦

この度は、すい臓がん患者支援団体パンキャンジャパンとして、大変光栄なる社会貢献者表彰を受賞させていただきましたこと、社会貢献支援財団ならびに関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

近年がん研究が進み、米国では全がん種5年生存率が75%に達したと発表されました。しかし過去40年間、5年生存率が一桁台にとどまっているすい臓がんは依然として9%です。受賞の際に安倍昭恵会長より「主人の父親もすい臓がんでした」と告げられ、日本人にはすい臓がんが非常に多く、粗罹患率は米国の倍であることが思いだされました。我々が活動を始めた当時、米国で承認されたすい臓がんの新薬が日本の患者に届くまで5年以上かかっていたため、その承認遅れの解消を厚生労働省に訴えるロビー活動を続けてきました。余命3か月と宣告された患者・家族にはあまりにも不条理な世界でした。いまやドラッグラグも解消されつつありますが、患者が欧米の新薬、特にゲノム医療に関連した医薬品を使うには課題が山積しています。

いまや世界はゲノム医療の時代に突入し、すい臓がん患者も遺伝子変異にマッチした治療を受けることで生存期間が標準療法の2倍に伸びることが米国臨床腫瘍学会において発表されました。それを受けて米国NCCN診療ガイドラインは改訂され、転移性すい臓がん患者は、がん遺伝子パネル検査を受けるよう推奨されました。しかし、年に何回も改訂される米国NCCNガイドラインとは異なり、日本のすい臓がんガイドラインは3年毎に改訂されるため、今年6月に保険償還された新薬ですらガイドラインで迅速に取り上げられないため、患者はその恩恵をすぐには受けることができません。また、米国のように転移性すい臓がん患者に推奨された「がん遺伝子パネル検査」も6月に保険償還されましたが、できる施設は限られており、11しかない施設以外の患者がパネル検査を受けることは非常に難しく、自分のがんの遺伝子変異が何かすらわからない、遺伝子変異にマッチした治療などもまったく受けられないなど、新しい問題が山積しています。

新薬の早期承認を訴えてきた弊会にとり、新しいゲノム医療時代の到来とともに新しい問題解決に取り組むことが求められていると痛感させられたこの3か月でした。この度の社会貢献者表彰の受賞を糧として、「すい臓がん撲滅」に向けてさらなる努力をする所存です。

皆様のご指導、ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

理事長 眞島 喜幸

  • 研究者支援 パンキャン賞 pancan-awards-2017
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  • 情報提供 パープルリボンセミナー2018 国がん東病院
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  • 鎮魂 パープルライト広島2019
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  • 鎮魂 パープルライト広島2019
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  • 膵癌ワークショップ2018
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  • 啓発PurpleStride リボンセレモニー
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受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」