受賞者紹介

第51回 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

にんていえぬぴーおーほうじん こうちこどものとしょかん

認定NPO法人 高知こどもの図書館

(高知県)
認定NPO法人 高知こどもの図書館 理事長 大谷 英二
理事長 大谷 英二

日本で初めてNPO法人が設立し運営する図書館として1999年に開館した認定NPO法人高知こどもの図書館は、こどもたちと本が出会える場として、児童文学・研究書・絵本・美術書・小説・ノンフィクション等3万6千冊の蔵書を保有する。来館者は年間約1万5千人にのぼり、毎月のおはなし会や、地元の音楽家によるコンサート、折り紙教室、赤ちゃんの本紹介の催しなど、本の貸し出し以外にも様々なイベントを開催し、子どもたちが安心して人と出会い、本と出合える場所を提供するとともに、子どもから大人まで誰でも利用できる公共の施設として、地域の人々に親しまれている。
自治体の協力も得ているが、指定管理などではなく、運営費は全て自分たちで賄っている。ボランティアとして係る協力者に恵まれ、間もなく設立20年を迎える施設は、支える人々により、子どもの想像力と創造力が育まれる場所として、地元の方々から期待されるとともに、全国からも注目を集めている。

推薦者:古谷 滋子

NPO法人高知こどもの図書館は、子どもたちが安心して人と出会い、本と出合える場所を増やしたいとの願う大勢の方の思いが結実し、1999年12月に開館した日本で初めてのNPO法人が設立し運営する図書館です。

初めから、自分たちで運営する図書館の設立を目指していたわけではありません。きっかけは、1994年の秋に発表された高知県立図書館の移転・新築計画でした。「移転後の建物を県立のこどもの図書館にして欲しい」と県に申し入れをしたのが活動の始まりです。

その後、紆余曲折があり、1998年春、高知県健康福祉部長より「運営費の補助はできないが、皆さんで責任を持って運営する覚悟があれば、県有施設を無償で貸与できる」との連絡があり、県立こどもの図書館のではなく、自分たちで作り運営する民間の図書館へと発想・活動が大きく変化することになりました。

蔵書整備など1年間の準備期間を経て、1999年に開館。当初1万8千冊でスタートした蔵書は、現在3万6千冊になりました。1Fは閲覧室、2Fは企画展やコンサートを行う多目的スペースと研究資料コーナー、それに小さなギャラリースペースがあります。年間約1万5千人の来館者があり、3万冊前後を貸出しています。開館からの累計では貸出冊数は50万冊をこえ、来館者は30万人近くになりました。

図書の閲覧や貸出し、ブックトークや読み聞かせ、読書相談への対応といった図書館業務のほか、多目的スペースやギャラリースペースでは年間20企画前後の企画展を実施しています。また、県内の音楽家の方による「本とともだちコンサート」は開館以来、年4回行っていますが、小さな子どもたちが気軽に本格的な音楽を楽しめる場として親しまれています。

「こどもの読書活動ボランティア養成講座」、「ストーリーテリング研修会」、「子ども司書講座」など、年間約70件前後の講師活動をおこなっています。ですがどれも図書館としては当たり前の本当に地味な活動です。他の受賞者の皆様の活動に比べるとささやかなことしかできておらず、皆様と肩を並べて受賞者です、と名乗るのが申し訳ないように感じております。

ただ、今回とても嬉しく思ったのは、この賞に推薦下さったのが図書館設立当初からの会員であり、利用者としてずっとこどもの図書館を見守って下さった方だったことです。市民参画型の民間の図書館を励ましてくださり、また時には厳しいご助言をくださりながら、図書館を育てていただきました。大勢の方のお力添えがあったからこその受賞です。今回の賞の本当の受賞者はこの19年間支え続けてくださり、図書館に関わって下さった方たちです。お一人お一人の思いや共に歩んできた日々の活動を表彰いただいたのだと思います。

賞に恥じないよう、子どもたちに本を届ける仕事を続けて参りたいと思います。どうか今後ともよろしくお願いいたします。

館長 古川 佳代子

  • おはなし会
    おはなし会
  • 図書館外観
    図書館外観
  • 企画展会場風景
    企画展会場風景
  • コンサート風景(馬頭琴)
    コンサート風景(馬頭琴)
  • 出張活動(山間部の小学校でのブックトーク)
    出張活動(山間部の小学校でのブックトーク)
  • 利用者のみなさんによるバザー実行委員会
    利用者のみなさんによるバザー実行委員会
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」