社会貢献の功績
早大防災教育支援会(WASEND)
早稲田大学社会環境工学科の教授だった濱田正則氏は、2004年に発生したインドネシア・スマトラ島沖地震の震災後現地を視察に訪れた際、ひとりの少女から「日本は昔から地震の被害を受けていたのに、その経験をなぜ私たちに伝えてくれなかったのか」と質問を投げかけられたことで、学生による防災教育の必要性を強く感じ、「早大防災教育支援会」(WASEND)を設立した。
濱田氏の意志は学生たちに受け継がれ、現在約60人のメンバーが日本国内のみならず、インドネシア、フィリピンの子どもたちを対象に防災に関する教育活動を行っている。
現地の大学生や専門家との綿密な現地調査の上、その地域に適した授業を、実験装置を用いて体験的な内容にし、子どもたちの防災への意識向上を目指して行っている。
学生が作る防災シリーズ絵本「よしはまおきらい物語」(英訳・インドネシア語訳もある)を編集。また、この夏にはシリーズ第2弾「ぼくはひとりじゃない」を編集。授業を受けた子どもたちに手渡している。
この度は早大防災教育支援会WASENDを社会貢献者団体として表彰していただき、誠にありがとうございます。団体の代表として感謝申し上げます。
WASENDは早稲田大学の社会環境工学科の学生が中心となって、小学生を対象に防災教育活動を行っている団体です。日本国内のみならず、インドネシアやフィリピンなど海外にも足を運び、それぞれの地域に適した防災授業を実施しております。
当団体が発足したきっかけは2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震です。この地震は震源地周辺だけでなく、広範囲にわたって甚大な被害をもたらしました。当時、早稲田大学社会環境工学科の教授であった濱田政則先生(現アジア防災センター長)は、震災後に現地を視察した際、一人の少女から「日本は昔から地震の被害を受けていたのに、なぜその経験を私たちに伝えてくれなかったの」という言葉を受けました。この言葉で濱田先生は若年層への防災教育の必要性を認識し、WASENDを設立します。
国内の活動としては、小学校を訪問して防災についての授業を行います。都心部では首都直下地震に関する内容、瀬戸内近郊であれば南海トラフに関する内容など、それぞれの地域にふさわしい授業を行っております。このほか、地域の防災フェスに参加するなどして、地域の皆様の「防災」意識を少しでも高められるように活動しております。
海外活動としては、主にインドネシアとフィリピンに遠征して小学生への防災教育や大学生とのディスカッションを行っております。インドネシアでは2004年の地震によって被害を受けたアチェをはじめ、メダン・ジョグジャカルタ・バリなどで毎年活動しております。フィリピンは昨年本格的にスタートした活動で、台風が多いフィリピンの地で台風と土砂崩れに関する講座を中心に行いました。
また、WASENDでは防災絵本も制作しており、これまでに「よしはまおきらい物語」「ぼくはひとりじゃない ~ワヒュー君と、アチェをおそった大津波~」の2冊を発刊しました。日本語/英語版とインドネシア語版の2種類を用意し、国内外の小学生に配布しております。
最後になりますが、今回授賞式に参加できたことを大変光栄に存じます。様々な活動をしている方や団体と出会えたことは私たちにとって非常に良い機会となりました。改めて、WASENDを推薦してくださった尾島俊雄先生をはじめ、支援してくださる国境なき技師団の方々、今までWASENDを創り上げてきた歴代の先輩方に深く感謝申し上げます。
代表 有西 希海