受賞者紹介

第49回 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

すずき じろう

鈴木 次郎

(宮城県)
鈴木 次郎

宮城県仙台市で1999年に結成された「台原森林公園にホタルとメダカを呼び戻す会」(2011年に現在の「仙台旭ヶ丘ホタルとメダカの会」に改称)に発足当時から所属。ゲンジボタルの保護に取り組み、ホタルの幼虫の餌となるカワニナ(巻貝)が減らないように、カワニナが好むキャベツの葉を川底に置いて増殖に取り組んでいる。生息地の環境の保全、飛翔期には鑑賞者のために行灯の設置、小学生のホタルの里見学の案内などを行っており、地域の人々から「ホタルの鈴木さん」と呼ばれ親しまれている。また、日頃から町内会の役員、小学生の安全見守り、公園の清掃や除草などにも取り組んでいる。

推薦者:仙台旭ヶ丘ホタルとメダカの会
「旭ヶ丘ホタルとメダカの里」を常時観察して小川の流れや有害物がないか確認する鈴木さん
「旭ヶ丘ホタルとメダカの里」を常時観察して小川の流れや有害物がないか確認する鈴木さん

私がゲンジボタルの保護活動を始めた場所は、仙台市の中心部から北の方向へ5㎞ほど離れた台原森林公囲(面積60.4ha)内の「ホタルとメダカの里」であります。

この公園は1973年に開園し、仙台市が明治百年記念公園として整備した公園で、地下鉄旭ケ丘駅に直結しているため多くの市民から親しまれています。

この公園が整備される以前、昭和30年代までは平地に水田があり、ホタルやメダカが生息していましたが、公園整備により絶滅し、全く見られなくなりました。

地域の有志が「台原森林公園にホタルとメダカを呼び戻す会」(後に会名改称)を結成、2000年6月に金成町の「ゲンジボタル愛好会」に懇願して贈られた親ボタルを放しました。この地に産卵したホタルが自生し、翌年から毎年6月に淡い光を放ち乱舞するようになりました。

私はこのホタルを守るため、何を為すべきか、ゲンジボタルの生態などを学び、先ず出来る事からと思い、ゲンジボタル幼虫の保護活動を最優先にしました。幼虫の餌は、カワニナ(巻き貝)で、これが不足するとホタルは、絶滅する恐れがあります。仮に川底に百匹のゲンジボタル幼虫が生息した場合、幼虫が蛹になるまでカワニナは1万個以上必要であると専門書に書いてあります。幼虫生息エリアは狭いため、カワニナ不足になり易く、カワニナの繁殖率を高める必要から、餌は自然界で食する餌より、人為的給餌方法により栄養価の高いキャベツを与えることにしました。キャベツの葉は1週間で網の目の如く食い尽くされます。葉の裏面には産んだ稚貝がたくさん付着しているのです。カワニナの繁殖期は5月~10月で、キャベツの葉を流されないように手を加え川底に配置します。

このキャベツを入手するため、スーパーマーケットをまわり、売場で剥がして捨てられる葉を、店員にお願いして持ち帰ります。大概の店は持ち出し禁止になっているので、貰える店を捜す事が大変です。

毎年ホタルの飛翔期間中に多くの子どもたちが、両親と共にホタルの里に集まり、暗い夜空に乱舞するホタルを見て大騒ぎし、感動している姿を思うと、日々の厳しい保護活動の辛さなどは忘れてしまいます。

この度の表彰式では、様々な活動にご奮闘されている方々がおられるのに驚きました。大方の受賞者は・何らかのハンディキャップを負う人々のために尽くされた功績に対する表彰のようですが、私の場合は小動物保護の仕事は気楽です。身に余る表彰に恐縮しております。社会貢献財団の表彰受賞者どなたも、この事業をいつまでも継続されることを期待していると思います。心から貴財団のご発展を祈念します。

  • カワニナの餌になるキャベツの葉を準備中
    カワニナの餌になるキャベツの葉を準備中
  • カワニナの餌になるキャベツの葉を準備中
    カワニナの餌になるキャベツの葉を準備中
  • 小川の川底にキャベツの葉を置く作業中
    小川の川底にキャベツの葉を置く作業中
  • 後日確認したキャベツの葉は食い尽くされ カワニナが4個くっついている
    後日確認したキャベツの葉は食い尽くされ カワニナが4個くっついている
  • ホタルの幼虫は殻に潜り込みカワニナに食いついていた
    ホタルの幼虫は殻に潜り込みカワニナに食いついていた
  • 旭丘小学校3・4年生の総合学習でゲンジボタルの生息地を案内する鈴木さん
    旭丘小学校3・4年生の総合学習でゲンジボタルの生息地を案内する鈴木さん
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」