社会貢献の功績
ミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動
ミャンマー(ビルマ)に残された旧日本兵の遺骨調査の活動資金を集める運動を2012年から行っている。同国には4万5千に及ぶ日本兵の遺骨があると厚生労働省では推測しているが、同国の近年の民主化と和平の進展で、これまで立ち入ることのできなかった少数民族支配地域に、民間レベルで遺骨の事前調査が可能な状況になった。この運動は教派や宗派を超えた日本の宗教者と、運動の趣旨に賛同する国内外のボランティアなどによって運営されている。この活動により、2016年3月4日にミャンマーから10柱のご遺骨が帰国した。現在、協力関係にあるNPO法人によって、遺骨収容活動が継続されている。
あれは五年前の夏の事でした。昨年既に本賞を受賞された井本勝幸さんから、突然国際電話が掛かってきました。
「私がミャンマーの少数民族の大同団結を成し遂げた後、現地の古老から『最近日本人の僧侶が我々の近くで和平に尽力しているそうだが、その人にぜひ伝えてくれ!私は先の大戦で亡くなった部下たちの墓を長年守ってきた。だがもう私の寿命も尽きようとしている。どうか部下(旧日本兵士)たちの遺骨を祖国に連れ帰ってくれるように伝えてくれ!!』と聞きました。なんとかその人の願いを叶えてあげたいと思います。幸いにも少数民族の人達が協力してくれる事になっています。どうか日本国内で仲間と共に調査費募金の協力をして下さい」
という衝撃の内容でした。
早速「宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会」(略称スーパーサンガ)と、井本さんが創設された「四方サンガ」の有志と共に、「ミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動」を立ち上げたのが五年前の十月の事でした。
以来、国内では同志を増やし、総理官邸や厚労省、外務省との折衝を続け、合せて支援金を募りました。その中でご遺族の方々や篤志家からも続々と浄財が寄せられました。
その後、ご遺骨帰還のための新法成立、それに基づく指定法人が設立される事になり、それまでのつなぎ資金として、延べ四千七百万円余が集まりました。
一方ミャンマーでは少数民族の有志によってご遺骨調査隊が組織され、着々と届くご遺骨の情報を厚労省に報告して参りました。一昨年にはその成果を元に、十柱のご遺骨が遂に念願であった祖国へのご帰国を果たされました。
その後、ご遺骨帰還の為の指定法人設立に前後して、青年達で組織する「JYMA日本青年遺骨収集団」に現場の実務を引き継ぎ、以後厚労省の予算によって三回の現地調査とご遺骨の帰還が果たされました。
平和な日本社会にあって、先の大戦の尊い犠牲と、その世界史的な意義が忘れ去られようとしている昨今、我々のささやかな運動が先の大戦における多くの英霊達の犠牲の意味を少しでも広く世に知らしめる機会となった事は望外の喜びであります。
また此度の受賞をきっかけにさらに多くの方々、とりわけ次世代の人々による英霊への感謝とその顕彰への第一歩が始まった事に、我々同志一同誠に僭越ながら、英霊の皆様と共に深く感謝致しております。
合せて社会貢献支援財団と日本財団の両団体に対し、心より篤く篤く御礼申し上げるところで御座います。
合 掌
ミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動
統括幹事 川原英照