社会貢献の功績
一般社団法人 海っ子の森
三重県南部紀北町の一部の海では、海藻の森が無くなり、海底の岩場がむき出しになる砂漠化した「磯焼け」と呼ばれる状態で生物多様性が失われている。この状態を知って2004年から鳥羽市水産研究所の指導・協力を得て、漁協者および市民の参加によりこの問題の解決に取り組み始めた。主な活動は自然石に海藻の苗を取付け岩場に設置する「鳥羽工法」と呼ばれる植樹技術で海藻を育成している。2010年には組織を一般社団法人化し、山の環境保全が海藻の育成にも有用なことから、山の環境保全活動も併せて行っている。
この度は、名誉ある社会貢献者表彰をいただき心よりお礼申し上げます。
私たち一般社団法人海っ子の森は、12年間、「海の森を未来に届けるプロジェクト」をテーマに掲げ、活動を行ってきました。
海っ子の森の活動は、三重県鳥羽市にある鳥羽市水産研究所の職員の方との出会いから始まりました。
私たちが子供のころから見ている海は、外見上は昔から変わらない景色が広がっています。しかし、鳥羽市水産研究所で聞いた海の現実は違っていました。海の中では磯焼けと言われる海の砂漠化で、海藻が無くなる現象が三重県の沿岸で見られるようになり、その現象は広がり続けていると言うのです。その問題は三重県だけではなく日本全国のあちこちで起きているとの事でした。
この現実に、海で育ち、海が好きなメンバーが集まり海っ子の森サークルとして活動を始じめ、多くの人達の力により海の森づくりを行ってきました。磯焼けにより、海藻の森(藻場)が無くなった海では、魚が居なくなるだけではなく多くの生き物が住めない場所になってしまいます。このことにより、漁獲高が減少し魚を採り生活を行っている漁業者にまで影響が出ています。
そもそも海藻(藻場)は、海にとってどのような役割を持っているのか?
藻場は魚たちの産卵場や隠れ家の他、魚やサザエなどの貝などの餌場でもあり豊かな海の生物多様性の宝庫となっているのです。他には海藻も当然、海の植物でありCO2を吸収し酸素を出しています。磯焼けと言った問題は、我が国の海洋資源を蝕んでいることから、国や県もその問題解決に取り組んでいます。しかしそのスピードは速く数十年で日本全体の40%もの藻場が消滅したとも言われています。
藻場造成は、山の植林とは異なり膨大な費用が掛かることから、国や県の事業となっています。しかし、鳥羽市水産研究所では漁業者と小規模ながら自分たちの海の現状と向き合いながら藻場造成を行っていました。その現実を知り、市民による海の森づくりが出来ないかと言ったことから、海好きのメンバーが集まり、私たちのテーマでもある「海の森を未来に届ける」を思いに海っ子の森が誕生しました。
鳥羽市にある答志島の漁業者は、3世代に亘り海の森づくりを行っています。
海っ子の森の活動はまだまだですが、山の植林活動のように海にも海藻の植林が必要であることを私たちの活動を通じ多くの人に知って貰うため、メンバー一同これからも頑張っていきます。
今回、授賞式では、私たち以上に素晴らしい活動をされている方々との出会いに、今後の活動への力を貰うことが出来ました。
社会貢献者財団および関係者の皆様ありがとうございました。
メンバー一同