社会貢献の功績
多田 千賀子
兵庫県姫路市内で美容院を経営しているが、平成19年ごろから知人や来店者から自殺や孤独死、認知症者の徘徊などの話を聞くようになり、その原因は、話し相手もない高齢者の一人暮らしの増加や、近所付き合いの少ない孤独な暮らしにあり、いずれは自分たちもその仲間になる恐れは明白だといった思いから、隣家の空き家店舗を購入し、”一日中いても100円”の「いきいきセンターみんなの広場(以下広場)」を平成20年に開所した。広場では利用者の意見と情報を参考に様々な教室を催したり、市から不要になって譲り受けた卓球台を設置したところ、子どもと高齢者の卓球交流が盛んになったり、うつ病や認知症の人が人とコミュニケーションをとることで症状が軽くなるといった効果がみられている。
平成28年11月27日、11時55分東京駅ホームに立つ。
夢の24時間の始まり!お出迎えは真っ赤なバラ、装花のプリザーブドフラワー。洋服の長い裾をひいて長い階段を駆け下りてくる美しい女性。こんなシーンを映画かテレビで見たことがあった。日本最初の本格ホテル“帝国ホテル”圧倒された一瞬。
チェックインまでの間、広いロビーのソファに腰かけ、これから始まる未知の世界、セレモニーの始まりに不安と恐れ、又期待、身震いするような思いの一瞬の始まりに心引き締まる。
「シニア世代どう生きますか」と、問いかけて始めた“いきいきセンターみんなの広場”はきれい事で始めたわけではない。一日いて百円の利用料収入、有難かった。
その一年前ご主人を亡くし、語る事のなくなったうつ病の老夫人との沈黙の時の流れ。又広場の前を、シルバーカーを押し、行きつ戻りつしている老女。声をかけると「帰る道がわからない」と。夢を現実につかもうとする中学生との語らいには、応援してやりたい気持ちが自然に沸いてくる。こんな日々、こんな時、社会貢献者表彰の授与の吉報。
式典に出席するも厳粛なものだった。スタッフの皆さん温かかった。受賞の方々の自信、誇り、強さ、生きている顔を見た。貴財団の細やかな気配り心配りに感謝いたし、生涯最初で最後、最高の招待を受け、時を過ごした。心豊かに帰姫。
全国紙姫路版が受賞を取り上げている。地元紙が特集で掲載している。
新聞の反響は大きい。夫婦で来られる方、友達グループで来られる方。電話での問い合わせ、満足な対応、接客は出来ていない。反省しながらも本来の目的は?と、振り返る。
今、“新聞を見た”と初老男性がバスを乗り継いで毎日の様に来られる。
36年前北海道から大阪に来、リタイアして姫路へ来た。マンションで1人暮らし、人との付き合いはない。と、こういう方の利用こそが本来の広場の目的。興味本位、見学はいささか見当違い。
12月18日(日)感謝会を催した。影で力を貸して下さる方、協力してくださる方、又日々利用して下さる方々と共に頂いた賞です。
乾杯は、小学生2人と93歳の最高齢女性。35人の出席。楽しい一日を終えたが課題が残る。
先に変化を望めない高齢者と好奇心旺盛な子供たちの対応、彼らの発想は想像がつかない。危険と背中合わせ。今、彼らの反省文を待つ。願いは毎日笑って暮らす人が増える事、貴財団の精神、地道な活動を続ける事。ふらっと来て、帰りをせくわけでもなく、筆を持つもよし、ラケットを振るもよし、マイクを握るのもよし、駒を進めるもよし。今趣味の友を作り、茶をすすり、語り運動し、“一日が楽しかった”と思え、思える明日がきますように・・・めげない。逃げない。くじけない。ありがとうございました。