社会貢献の功績
手束 耕治
1984年に現公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)のスタッフとして、タイのカンボジア難民キャンプで活動を始め、教育文化活動の重要性に目覚める。ポルポト時代に破壊された教育・文化・宗教を復興するため91年にSVAカンボジア事務所を開設し、印刷・出版活動を開始。数百タイトル百万冊を超える図書を出版し、全国の寺院・小学校等に配布。93年からは図書活動を開始し、プノンペン近郊を始めに全国の小学校などを巡回して絵本の読み聞かせを行い、多くの子どもたちに生きる力と夢と希望を届けるとともに、図書館活動を担う教員の養成を行ってきた。また、91年にカンボジア日本人会を設立。当時20人程度だった邦人が2,000人を越え、文科省認可の日本人学校が必要となったため、その開校に尽力した。同国での民間国際協力活動の先駆者的な存在。
第46回社会貢献者表彰によせて
この度、長年にわたる民間国際協力活動に対してこのような栄えある賞をいただきましたことは、身に余る光栄に存じます。
また、歴史と格式ある帝国ホテルでの瑶子女王殿下のご臨席を賜りました厳かな表彰式典にお招きいただきましたことに心より御礼申し上げます。
私たちにとりましては式典当日に初めてお会いする方々ばかりでしたが、それぞれ人命救助の功績や社会貢献の功績をお伺いし、また映像でのご紹介を通じて皆様の素晴らしい活動に感動いたしました。
特に、人命救助で自らの命に代えておぼれている少年を救助された横尾仁美さんや身をもって通り魔から女児を守った原田貴子さんのお話しをお伺いし、平常な日に起きた異常なことにわが身の危険を顧みず、自らすぐさま対応されたことは常日頃のお一人お一人の生き方から生まれたものであると思い、本当に素晴らしいと思いました。
また、海外での社会貢献の功績で表彰された名知仁子さんは国境なき医師団のボランティア医師としてミャンマーでの医療支援にかかわったのをきっかけにご自分で団体を創設され、ミャンマーの人々ともに活動されている様子が映像から生き生きと伝わってきました。
受賞者の皆様が日々素晴らしい活動に取り組まれている姿に大変感動致しましたとともに、これからも引き続き自分の活動に邁進しなければと大いに励まされました。
さて、今後ですが、引き続き家族とともにカンボジアに留まり、カンボジアの仏教の復興や教育・文化支援、そして日本とカンボジアの相互交流を通じた相互理解と人材の育成にこれからも長くかかわってまいりたいと思います。
カンボジアは1970年から20年に亘る内戦、特にポルポト時代にはそれまでの宗教、文化、社会、教育が否定され、あらゆる分野の知識人が殺されました。90年代に入って東西冷戦が終結し、国際社会の支援によって、和平、復興そして社会開発から現在では経済発展の時代を迎えていますが、社会の発展の基礎となる人材の育成には本当に長い時間が必要です。
これからも日本とカンボジアがお互いに理解し、協力し合って平和で幸福な社会を作ってゆけるように願っています。