社会貢献の功績
認定NPO法人 抱樸
昭和63年から北九州市を拠点に「ひとりの路上死も出さない。ひとりでも多く、一日でも早く、路上からの脱出を。ホームレスを生まない社会を創造する」を課題・テーマにホームレス支援活動を行っている。ホームレスには2つの課題があり、一つは「ハウスレス」家が無い、食べるものがないなどの物理的なモノにかけていること。もう一つは「ホームレス」家族や友人との関係性が無く、孤立していること。経済的な面「ハウスレス」のみ支援していても解決にはならないと考え、両面を支援する活動を25年以上にわたり継続している。
この度の社会貢献者表彰、大変ありがたく、また身の引き締まる思いでいます。
1988年12月、数名のボランティアによって、北九州におけるホームレス支援活動は始まりました。あれから25年以上が経ちました。この活動は、全国の支援者によって支えられてきました。
私たちが関わり自立された人の総数は2,500人を超えました。9割以上の方が自立され、その後も生活を継続されている方は93.3%にのぼります。それは、出会いから看取り(葬儀)までの支援を実施してきたからだと思います。
本来、私たちの活動が長きにわたり必要とされていることは決して喜ばしいことではありません。私たちは、「一日も早い解散を目指し頑張ります」と任意団体からNPO法人となった設立集会時に宣言いたしました。それからすでに14年が過ぎました。残念ながら私たちの活動が不要となるのは、まだ先のようだと感じています。
活動初期は、路上の方々への支援がすべてでした。今でも支援の中心は変わりません。しかし、不安定な雇用状況、居住形態で生活せざるを得ない方々の数が増大しています。若年化も進んでいます。支援が必要な方は路上生活者だけではありません。
私たちは、三つの使命を掲げて歩んでいます。
・ひとりの路上死も出さない
・ひとりでも多く、一日でも早く、路上からの脱出を
・ホームレスを生まない社会を創造する
三番目の使命である、新しい地域社会の創造を目指した活動が今とくに求められています。私たちは、2014年7月、名称を「抱樸(ほうぼく)」と変更しました。「抱」は、抱く。「樸」は、原木。「原木をそのまま抱き留める」という意味があります。抱樸のテーマは2つです。
第一のテーマは、受容と希望です。整えられてから受け止めるのではなく、山から切り出された原木をそのまま受け止めるということです。その時、希望が生まれます。受け止められた後に、原木は役割を得て、杖や家具となり、他者のために生きるようになるのです。受けとめられた者が希望に生きる者となるのです。
第二のテーマは、絆は、傷を含むということです。ささくれ立った原木を、そのまま抱きとめるということは、傷つくことが伴います。しかし、傷ついてでも引き受けてくれる人、地域、社会がまず必要なのです。社会参加、受容的社会こそが、自立を支えます。
社会制度が変遷する中、生活困窮者への支援をどうするかが課題となっています。経済的困窮・社会的孤立状態にある方々への支援はこれからますます必要です。この度の表彰は、皆さまからの励ましと力強い後押しであると思います。かけてくださった期待に十分応えることができるよう、これからも活動を続けてまいります。この度の表彰、誠にありがとうございました。