社会貢献の功績
臼田 玲子
ベトナムのハノイを訪問した際に目にした裸足の物売りの少女や物乞い、靴磨きの少年たちに心を痛め、2003年に日本ベトナム友好協会川崎支部の事務局長として同国ダナン市などに放置自転車を贈る活動を開始した。(現在も継続されており本年9月には寄贈数10,000台を越える予定)その後2008年にベトナムに居を移し、ホイアン市に土地を購入して環境配慮型建築でカフェを開設。学習環境に恵まれない若者を採用し、接客、調理、語学を指導している。学んだ技能で良い職を得ることや後輩の指導出来るようにと、若者の自立を視野においたもの。同市はベトナム戦争により枯葉剤の後遺症や障害に苦しむ人が他の地域よりも多く就労困難と低収入を引き起こしている。またカフェではNGOリーダーや社会企業家を迎え座談会を開催したり、環境問題に取り組む人々とのネットワークづくりの場ともなっている。
この度は表彰者の一隅に加えて頂き、誠にありがとうございました。各界の著名な方々のご臨席のもとに開催されました式典では、大変光栄に思うとともにその重みと責任を感じました。この重責を必ず果たそうと考えております。
プロジェクト立ち上げの動機は路上で出会った裸足の物乞いや靴磨きの子ども達。児童労働の現場に遭遇して何かお手伝いがしたいと考えたのでした。
活動拠点をホイアンの川べりに建つカフェに置きました。活動のテーマは2つ、環境保全と恵まれない環境にいる人たちへの学習支援です。
環境保全活動について:カフェでは空調を使用せず自然エネルギーである水や空気の循環で建物を空冷しています。雑排水は自家浄化槽を経てカフェ内の池に戻し、お客様がその風景を楽しみながら環境保全を学べる仕組みです。また、地域の有機食材を使っての日越フュージョンメニューを提供し、コンポストなどエコ生活への提案もしています。
学習機会の提供について:ホイアンはベトナム中部に位置します。中部地域はベトナム戦争の傷あとが今も癒えておらず、自然災害が多発し、経済発展から取り残されがちです。仕来りも多々存在します。
私たちはここで恵まれない環境に育った若い人たち、因習に囚われがちな女性達に雇用、職業訓練、学習の場を提供しています。コアになる人材をと最初に雇用した仕事のできる50代女性も、実は幼い頃に両親を亡くして弟妹の世話のために就学の機会を失い読み書きが不自由でした。恵まれない環境で育つ人たちがこれほど身近にいることに驚きを禁じ得ませんでした。この時のショックが活動のけん引力となっています。
本年はプロジェクトの組織充実を図りました。9月にマネージャーを採用して管理を一任。10月から恵まれない環境の若い女性への支援を開始。両親を亡くしながら独力で高校を卒業した女性を雇用して職業訓練校に入学させ、同じ職業訓練校に在学中の少数民族の女子学生をパート採用して二人に接客と調理の実地指導を行っています。
2014年度は支援を地域に展開します。地域の職業訓練校と協同して"在学生の更なるスキルアップを図る事業"と"地域の恵まれない若い女性達のための研修事業"を立ち上げます。御財団より頂戴しました副賞はこのプロジェクトに活用させていただきます。
授賞式典では様々な分野で優れた活動をしていらっしゃる受賞者の皆さんとの交感の機会を得ました。過去の受賞者へのご紹介も含め、出会いと学びの場のご提供に感謝します。賞に恥じないよう精進致します。