受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

おりお じん

折尾 仁

(34歳:東京都目黒区)
折尾 仁

震災後、3月15日に東京から宮城県多賀城市、石巻市に入り物資援助を行って現地の状況を目の当たりにし、JIN'SPROJECTを立ち上げて200名以上の賛同者と共に東京で基盤を作り、宮城県の避難所などに支援物資の輸送、仮設住宅住民のためにボランティア活動やチャリティイベントの開催などを現在も継続している。プロジェクトの活動以外に瓦礫撤去、遺体捜索にも従事した。

推薦者:石巻商工会議所 佐藤 洋一

「5月26日の事」

瓦礫撤去の為、宮城県石巻にいました。まだ自衛隊も、行方不明者の捜索をしていなかった場所で、作業をしていた時の事です。泥の中から、背中が見えました。

 

掘っていくと、うずくまったままの女性のご遺体ということが、分かりました。
仲間のひとりが「またでてきたな…」と眩きながら、ご遺体を引き上げたとき、そこにいた5人の空気が変わりました。女性の腕には子供が抱き抱えられていました。

「またでてきたな…」と言うぐらい、慣れてしまっている人たちでも、空気が変わってしまった理由とは…子供が震災後2ヶ月以上経ったとは思えない程、生きているような状態だったからです。

 

女性は波に流され、瓦礫にも、泥にも、もまれたにも関わらず、ボロボロになりがら、必死になって、子供を守ろうとした事が、容易に想像がつきます。

行政上、やむを得ず、二人を離さなければなりません。
でも、離そうとしても、母親は白骨化した腕で、子供を離しません。
人は、死んだら動かないという事ではなく、「死しても尚、子供を守っている」かのようでした。

僕はまだ分からない…そこにいた人たちが、どんな気持ちなのか?
痛みを感じることさえできない。

手つかずの状況を見て回る

でも、色々と考えた結果、答えはひとつではないと思う。
石巻の時計は、今も14時46分を指しているところがあります…
まだ、あの時から時間が止まったままの人たち、
あの時の親子のように、時間を失った人たちがいます。
そんな人たちの涙に触れ続ける限り、今の活動を続けていきたいと思います。

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