受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

ひろせ としみち

広瀬 敏通

(61歳:東京都荒川区)
広瀬 敏通

NPO法人日本エコツーリズムセンターの理事として全国にある自然学校のネットワークを総括し、大震災直後から「RQ市民災害救援センターを組織」し、現地入りして宮城県登米市に本部を設け、7カ所に活動拠点を設置し、主に宮城県沿岸地域で支援の届きにくい地域の緊急支援活動、国内外のボランティアの受け入れや移動支援、日々変化する被災地のニーズに対応した支援活動のマネジメントを行った。結果として11月末まで主に総数37,000人のボランティアを動員し、運んだ物資は400トン、支援先は550ヵ所に及んだ。12月からは一般社団法人RQ災害教育センターを設立し、地域復興支援・再生に向けた活動に取り組んでいる。

推薦者:東京農工大学 客員教授 福井 隆/
東京農工大学 教授 千賀 裕太郎

RQと私の取り組み

3,11直後に日本エコツーリズムセンターによって結成されたRQ市民災害救援センターは昨年末までに延べ4万5千人のボランティアが宮城県北を中心に8ヵ所のボランティアセンターなどの拠点で約70におよぶ支援活動チームを作って多彩な活動を行ってきた。現在はそれぞれの拠点が長期的な支援をおこなうための地域団体化に移行しつつある中でそれらを支える一般社団法人RQ災害教育センターと日本エコツーリズムセンターの代表を私は務めている。

私は20代の十年間をアジア各地で子どもを支援する個人NGOとして活動して来た。南インドで障害児孤児の自立を目指した村を何もない荒野の段階から開拓したのが最初で、1979年から80年に掛けてカンボジア難民を救援する国際ボランティアとして現地で働き、その後日本政府が現地に開設したJapanMedicalCenterの運営も派遣専門家として担当してきたのが最後の海外生活だった。このときの医師らとともに1982年に結成したのが『国際緊急援助隊』だ。私個人は同時に富士山麓でホールアース自然学校という活動を始め、それは現在、日本国内に3700も生まれた自然学校の最初の1校となった。自分の組織を持つことで、阪神淡路大震災以降、国内海外の災害地でいち早く救援活動を行うチームを率いることが出来るようになった。活動に不可欠な資金は、自然学校の売り上げの一部を『ホールアース自然基金』として積み上げて毎回、100万から数百万円を支出して賄ってきた。

撤去作業
撤去作業(舞根)

わが国は災害大国とも言われ、毎年のように悲惨な気象災害や地震災害が多発している。

にもかかわらず、多くの人々は災害の実態に目を向けずにニュース映像でしか接しようとしない。宮城大学生への調査では実に被災地を災害後にボランティアやその他で見た学生は16%に過ぎない。この数字は私自身が被災地に隣接した地域で調べた数字とも共通している。災害から学ぶ事のない人々の国がこの日本だ。その一方で私は災害現場に立つことで多くの学びが生まれ、自身が成長する事実に着目している。災害現場に立った経験を持つ人は後に遭遇する災害でも行動的で前向きな支援活動などに参加することが多い。こうした人々によって、災害に対してヒューマンで力強い社会にしていくことが出来ると思っている。

今回の受賞はこうした活動に活かさせていただくのと同時に、子どもや若者たちが災害から目を背ける事のないよう、今後もチャレンジを続けていきたい。

  • 写真洗浄
  • 避難所横での足湯
  • 牡蠣の株分け