東日本大震災における貢献者表彰
全国訪問ボランティアナースの会 キャンナス
震災翌日、会の代表者が全国の会員に支援活動参加の依頼を発信し、3月19日に救援の人材と物資を積んで神奈川県藤沢市から宮城県気仙沼に到着し、避難者1800名の避難所に基地を設け活動を開始した。トイレ掃除から始まり、医療チームのコーディネーターを務め、高齢者や乳児の世話など行った。8月末までに延べ4千人の看護師を送り続け、主に気仙沼市、石巻市などで活動した。
看護師が介護に入ると、家族はとても安心できる-家族の看取りから得た事実を大事にしたいと考え、家族のレスパイトを目的としたボランティア団体「キャンナス」を立ち上げました。キャンナスの名前は、「できるcanことをできる範囲でするナ-スnurse」との思いを込めて名付けました。
1997年の設立時には思いもよりませんでしたが、「自分の地域にキャンナスが必要」と立ち上がる看護師が大勢あらわれ、現在、全国に約50の支部があります。高齢者の介護から、結婚式などの付き添い、町ぐるみの外出支援、難病の方の付き添い、旅行など各自が各地域のニーズに寄り添っています。
東日本大震災においては、3月20日に入った宮城県の気仙沼市、そして石巻市を中心に活動しております。生活視点を持った訪問看護師として、避難所では「本番」となる夜間のケアのために寝泊まりをしながら長期滞在支援に入り、環境改善を中心に取り組みながら、緊急搬送の人数を減らす効果を出し、また避難所内の災害対策本部の方のレスパイトに努めました。
現在、仮設住宅に移られた中でも、不安な生活は続いています。私たちは、引き続き集会所での「お茶っこ」や戸別訪問などを、一部、市からの委託を受けながら、またボランティアとしても支援活動を続けております。
看護師が自律的に行ってきた支援は、一冊の本『ドキュメントボランティアナースが綴る東日本大震災』(三省堂)としてまとめることができました。
被災地においては、急激に増えた医療ニーズに対して供給が追い付かない状態が顕著ですが、過疎化・医療不足の東北エリアの現状は、日本の未来でもあると考えています。すきま支援であるボランティアのみの活動では、課題解決は困難でしょう。
早急に公的な活動に結び付くようにと、被災地特例で認められたように介護保険制度の下、看護師がひとりでも訪問看護サービスを提供できるよう活動しております。結果、1月には福島市で第一号が誕生したことはうれしい話題でしたが、3月には提供が止められるなど、市民のニーズの本質にマッチしたスムーズな運用が叶っておりません。
ぜひ、規制仕分けで決められた通り、訪問看護ステーションの人員基準2・5人が廃され看護師がより積極的に地域に貢献できること、市民がどんな看護を受けるか選べるチャンスが公平にあることを願って止みません。安心して暮らせる未来のため、皆様、何卒お力添えを賜れますようお願いを申し上げます。