社会貢献の功績
高橋 竹夫
「人は皆必要とされ生まれ、愛し愛される貴重な存在である」という信念を礎に二十歳のころより50年にわたり非行に走った青少年の自立更生支援や障がい者の就労支援、そして引きこもりやニート、また社会から疎外さ れがちなホームレスの社会復帰支援などを続けている。 平成12年にはNPO法人「福寿草の郷」を立ち上げ、県内外から諸事情を抱えた方を受け入れ、苦楽を共にしながらより良き環境のもと健やかな生活を営めるよう支援を行っている。
「人は必要とされ生まれ、愛し愛される貴重な存在である」という信念を礎にハンディを抱えた方が、その人らしく輝いて暮らしてゆけるようにと、福祉活動を行なうようになり半世紀が過ぎました。これまで3万件以上の相談に応じてまいりましたが、全ての方を幸福に導くことができたわけではありません。過去には助力したものの問題解決の前に借金苦で一家心中されたご家族や、重度の障害者の受け入れが不可能なため飛び降り自殺された母親もいらっしゃいます。取り返しのつかない事態が悔やまれ自らの力不足を苛みました。そのためどんな相談にも耳を傾け全力で難に立ち向かい、ある時は「自らに難が振りかかろうとも全力で他者の幸福に寄与することでしか悔やまれる方々へ報いることが出来ない」と活動を続けてまいりました。
平成12年には「福寿草の郷」を立ち上げNPO法人として認証を受けております。志を同じくするスタッフと24時間体制で可能な限り相談に応じるとともに誰もが気軽に立ち寄れる止まり木として施設を開放し、心身の拠り所、成長の場となるよう努めております。現在ニートや引きこもり、障害者、身寄りのない方、一人でいることの多い高齢者等が年齢や障害の有無に関係なく集い、複数の企業から下請けの仕事をいただき訓練をしております。
また農園での作物栽培や当法人開催のイベントなどを通して地域の方とも交流し、各々の課題を乗り越えようとしています。私どもは本人の意欲と適性を尊重しながら意志に合った就業を共に考え、社会へのはばたきを後押ししてきましたが、幸いに就業合間に顔をのぞかせる彼らの多くは勤労による達成感を得て活力に満ち溢れています。しかしながら一方では一旦自立できても働く場がない方や、自立した生活に馴染めず情緒不安定に陥り、私どもに再び助けを求める方も増えております。彼らの中には社会保障制度の隙間に入り込み、十分な法的援助を受けられない方も多くおられます。
また家族の愛情があっても諸事情あって共に暮らせず、将来的にわたる支援を望まれる方も増えてまいりました。顕著となる切実さに、私どもは迷える時の心の止まり木としての機能を強化する必要性を痛感するようになってまいりました。今後は当法人内での事業を充実させ、受け皿としてのキャパシティーを広げてゆけるよう、一層の努力をはかってまいりたいと思っております。依然として課題は山積しておりますが、これからも私心を無くして被支援者と接し、彼らが自らを愛しみ、与えられた場所で自分らしい花を咲かせてゆけるよう助力を重ねて参りたいと思っております。