社会貢献の功績
難民を助ける会
1970 年代後半、インドシナ三国から150 万を超える人々が国外へ逃れ、救いを求めていた。当時、日本政府はこれらの人々の受け入れを拒否し、国際社会から「難民に冷たい日本人」との非難を浴びていた。そのような中、79 年、相馬雪香前会長が「日本人の善意を示そう」と「インドシナ難民を助ける会」(現、難民を助ける会。84 年改称)を設立した。政治、宗教、思想的に中立な、難民のための市民団体、第一号である。
爾来 30 年間、アジア・アフリカの 55 を超える国や地域において緊急支援、障害者支援、地雷対策活動、感染症対策などを行ってきた。現在は 13 カ国で支援活動を継続中である。
開発途上国ではあまりに多い障害者の窮状に直面し、特に、文化的にも偏見や差別の厳しいアジアで、障害を持つ人々に職業訓練などを通じて自立できるように支援を開始した。また地雷による障害者が多いことから、他に先駆けて、地雷対策活動を開始した。啓発絵本『地雷ではなく花をください』(文・柳瀬房子、絵・葉祥明)は96年発行以来58万部にもなり、その純益は全て対人地雷対策に充てられている。小さな子供から大人まで広く反響を呼び、対人地雷禁止条約への日本の加入にも大きな影響を与えた。97年には「地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)」の15調整委員団体の1つとして、ノーベル平和賞を共同受賞している。地雷問題では、除去だけでなく、被害を予防するための啓発や被害者への支援にも、力を入れている。
緊急支援では、08年5月にミャンマー(ビルマ)を襲った大型サイクロンの被害の知らせに即応しての支援活動も実施した。特に障害者家族を戸別訪問して支援物資を配布、現在も継続中である。今年9月末に発生したフィリピンでの大型台風、スマトラ島沖を震源とする大地震に際しても同様である。
国内では、難民をはじめとする、外国にルーツを持つ人たちへの日本語教育や教科補完教育に力を入れ、経済的支援も行ってきた。また、講演会、ワークショップ、報告会の開催など、啓発活動にも力を入れている。
去る7月23日にはサントリーホールに天皇皇后両陛下をお迎えして、創立30周年記念チャリティ・コンサートを開催したが、社会貢献支援財団から表彰していただく09年11月24日はちょうど30周年の記念日にあたる。
今後も、「困った時はお互い様」の精神で、困難な中にある人たちの中でもより弱い立場にある人たちを、長期的視点をもって支援していきたい。
(会長・柳瀬 房子)
受賞の言葉
この度の受賞を大変光栄に存じます。そして、活動を支えてくださっている支援者の皆様に心より感謝申し上げます。
世界には地雷や感染症の恐怖に直面したり、障害により社会参加できない方々が多くおります。今後も引き続き、「困った時はお互い様」の精神で、より弱い立場にある人たちを長期的視点で支援して参ります。