社会貢献の功績
長岡音声訳の会
「長岡音声訳の会」は視覚障害者のために墨字を音声にして届ける活動をしている。
昭和 52 年秋、新潟県身体障害者団体連合会主催の「朗読奉仕員養成講座」が長岡市 で開催され、その修了者によって結成された。(発足当時は「長岡市朗読奉仕会」)
現在会員は 46 名。活動は点字図書館の蔵書製作、長岡市の広報誌「声の市政だより」 や各種刊行物、点字図書館発行の「トピックス悠久」(新聞記事抜粋、毎週発行)「文芸えちご」(新聞文芸欄抜粋、毎月発行)「長岡新聞」(地方紙、毎週発行)の音訳である。
その他依頼のあった時には随時対面朗読にも応じている。
5 年前、長岡でも震度 6 弱を記録した中越地震の折も活動は会員の熱意に支えられ休止することなく続けられた。その結果、視覚障害者に情報を途絶えさせることなく届けられたのは特筆すべき点であろう。
当会は、常に正確で明瞭な音声訳を心がけ利用者の立場に立って迅速かつ良質な録音図書づくりを目指してきた。そのためには日ごろの研修が大切な役割を担っている。毎月の例会のうち全体会では会員が提案した課題で勉強する。あらかじめ出された課題をテープまたはCDに入れて持ち寄り会員相互に指摘や評価しながらより良い読みを目指している。
また班別の集まりでは、忌憚のない意見交換によって、掘り下げた内容にまで踏み込むことができる。他に1・2年目の新入会員を対象にした生読みの会は大きな成果を上げている。会には点字図書館の指導員(日盲社協認定)が6名いて、音訳技術やデジタル録音のノウハウを中心に県内各地の団体や点字図書館の研修会などで指導にあたっている。
近年特に力を入れているのは録音図書のデジタル化だ。デジタルの波はあっという間に音訳の世界にも押し寄せ、今ではデイジー図書なくして視覚障害の情報は得られないと言っても言い過ぎではない。この取り組みにも早くから携わり、長岡市の広報は県内で一番早くデジタル化に移行した。これには行政が惜しみなく予算を計上し協力的だったことが要因だと感謝していると共に、利用者(視覚障害者)が早くから声をあげたことも大きな要因である。この事からも分かるように、利用者、ボランティア、行政が一体となって事に当たることが最も有益であると思う。
それ故に、これからも「長岡音声訳の会」は地域の視覚障害者協会や長岡市の担当者、点字図書館とも常に連携して的確に情報提供できるよう努力していきたいと考えている。
(会長・遠藤 直子)
受賞の言葉
当会の 32 年の活動に対し栄えある社会貢献賞を与えてくださいましたことは会員一同大きな喜びであり、この上ない励ましです。活動に際し共に歩んできた新潟県内の音訳ボランティア、点字図書館、行政、そして何よりも深い理解で支えてくれている会員家族に感謝します。これからも利用者の情報収集の一助となるよう迅速に、正確明瞭で分かりやすい音声訳を提供しひたむきに活動してまいります。