受賞者紹介

平成20年度 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

ハートリンク

(新潟県)
ハートリンク 理事長 浅見 恵子
理事長 浅見 恵子
小児がんに対する偏見をバネに、7年間の準備を経て、生命保険への加入が困難な小児がん経験者を対象にした入院見舞金などを給付する、全国初の再保険制度による共済事業を行う任意団体を平成17年に設立し、同病治療経験者の支援活動を続けられている。

受賞の言葉

栄えある社会貢献者賞の授与に感謝申し上げます。厳しい治療を乗り越えた小児がん経験者はその後も種々の社会的、経済的偏見と闘っています。特に晩期障害の不安のある彼らに将来の医療保障をすべくハートリンク共済を設立し、支援活動をしてきました。今後も小児がん経験者が安心し充実した社会生活を送れるよう活動を続けていく所存です。

林事務局長の講演

「ハートリンク」は、生命保険への加入が困難な小児がん経験者を対象に、入院見舞金などを給付する全国初の共済事業を行う任意団体であり、平成17年に設立された。中心になったのは小児がんを克服した子どもを持つ親や小児科医である。

しかし、急速に医学が進歩する一方で20年前までは「不治の病」と言われた小児がんに対する偏見という壁が立ちはだかった。

ハートリンク設立のきっかけは、小児がんに対する偏見を背景にした親の悔しい気持ちがバネになった。ほとんどの生命保険会社は小児がんの既往歴のある人の保険加入を認めていなかった。生命保険に入れないために就職、結婚、マイホーム購入などライフプランが立てられず、結婚が破談になるなどの悲劇まで生まれていた。

医学の急速な進歩のおかげで小児がん患者の7,8割は治癒が可能となっている。ハートリンクの事務局長の林さんは、7歳のとき「あと3カ月の命」と宣告され、2年3ヵ月かけて同病を克服し、今は20歳代の長女を持つ。小児がん経験者を対象にした保険の新商品をつくれないかと活動を始めた。1年がかりで商品設計をしてくれた会社もあったが、結局金融庁から許可がでなかった。理由は「小児がん患者の20年間のデータ」が集められなかったためだった。

アメリカでは1974年から小児がんに対し告知もするし、障害対応もしている。日本で小児がんの告知が行われるようになったのはつい最近のことで、とても20年内のデータなど集められなかった。

林さんは「特定の構成員に対して保障を提供する共済なら自由に設立できる」ことを知り、協力してくれたコンサルタントと1年がかりで商品プランを作成した。小児がんの治療を終了して7年以上が経過した15歳以上60歳未満の小児がん経験者。家族プランも併設。しかも「がんの再発や二次がんにかかった場合でも入院給付金が保障される」という画期的な保障を内容とする再保険制度を外国の大手の再保険会社が、ハートリンク設立前日に契約してくれた。

再保険とは保険会社をさらに保険してくれるという会社がリスクを分担する仕組みで、給付金を再保険会社が保障してくれるのである。準備に4年、立ち上げに3年を要した。

ハートリンクの理事長となる浅見医師の協力で、新潟県内230人の患者とその家族、そして全国235の病院を対象にアンケートを実施。「共済をぜひつくってほしい」という切実な声による支援も後押しをした。

 設立から2年半、ハートリンクの活動は全国各地での講演会による普及活動を中心にチャリティーコンサートなどの開催、共済加入を呼びかける啓蒙ポスターの全国医療機関への配布、さらには医学研究費の寄付など幅広い。20年5月に千葉県幕張メッセで開催された小児がんの国際シンポジウムでは、チャリティー収益金を寄付するなどネットワークを広げている。

20年3月現在、加入者は全国26都府県、172人。経営安定のために全国への輪をさらに広げ300人の加入者を目指し活動を続けている。

(功績の概要・推薦者:小田 敏三)
面談の様子
事務所での作業
チャリティーピアノコンサートの後で

Hartlink

(Niigata Prefecture)
The prejudice for child cancer patients has made it difficult for them to purchase health insurance. Therefore an organization was created to help financially for those who could not purchase health insurance. Various kinds of activities to support child cancer patients are being conducted including lectures and concerts.
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