社会貢献の功績
けんせつこうがくか もっこうはん
鹿児島県立栗野工業高等学校
建設工学科 木工班
木工班 部長
中村美洋くん
「こそくり大工」(「こそくり」)は、平成11年に栗野工業高校の学校活性化対策として、地域に根ざし、貢献できる活動として考えられ、建設工学科木工班が主体となって開始した。
「こそくり」とは、鹿児島弁で簡単な家の補修・リフォームという意味である。具体的には、町内に在住する高齢者や独居老人、身体の不自由な方の住宅を対象に、壁・床・天井の張り替え、棚やテラスの製作、雨樋や屋根の補修などを行う活動である。自分で直すことはできないけれど、業者に依頼するには規模が小さすぎるような工事に、先生と生徒が一緒になって取り組んでいる。費用は、材料費と運搬費を依頼者に負担してもらっている。
この活動は、学校の実習では体験できない実践的な生きた教材であり、教育的な効果も大きく、県内外からも高い評価を受けている。
「こそくり」活動の手順は年度当初、町の広報誌に依頼者募集の案内を出し、依頼がきたら、依頼者宅を訪問して現場を確認する。出来るものであれば、見積書を作成し、依頼者と日程・費用等を打ち合わせる。作業は、原則として実習や課題研究の時間を充てて実施するが、放課後や夏休みなど長期休暇中に実施することもある。
「こそくり」活動は今年で10年目を迎える。家屋の補修等に携わった件数は、昨年度までに計40件以上にのぼる。台風が接近、上陸した年は依頼件数が非常に多くなる。
活動を始めた当初は、現場も小規模なものが多く、それほど時間と労力を必要とせず、取り組んだ家屋数は多かった。しかし最近では、教職員もいろいろ経験を積んで、ある程度規模の大きい家屋などにも取り組み、1件当たりに多くの時間と労力を必要とするようになっている。
この「こそくり」活動も、同校が高校再編整備の対象校として2年後に閉校することが決定していることから、10年目を迎えた取り組みも、実際に活動できるのは来年度までになっている。
現在、建設工学科の生徒が28名いる中で木工班の8名の生徒と教職員3名で活動を継続し、地域に愛され、親しまれたリフォーム活動を最後まで続けていく。
受賞の言葉
この活動は、工業高校の特徴を、何か地域のために生かすことができないかと思い、平成11年度から始めたものです。以来10年、地道に取り組んできたことが、このような栄えある賞を受賞するに至り、学校を挙げて喜んでおります。今後も「人のために、自分たちにできることは何か」ということを念頭に、生徒、職員一丸となって教育活動に邁進していきたいと思います。