社会貢献の功績
NPO 奄美青少年支援センター
「ゆずり葉の郷」
「ゆずり葉の郷」(「ゆずり葉」)の所長である三浦一広(53歳)さんが、27年前にシンナーを吸っている少年たちと出会い、それをきっかけに多くの非行少年たちと関わるなかで、それらの少年たちが置かれている家庭環境を知り、問題を抱える子どもたちを少しでも多く救ってあげたいと思ったのが活動のきっかけであった。
三浦さんを中心とする長年の活動が「ゆずり葉」の活動でもある。三浦さんは現在、奄美合気拳法総師範、保護司、そして奄美市の職員でもある。
当該地域は、経済的にも不安定で、家庭内の暴力・虐待、両親の離婚による家庭の崩壊など青少年を取り巻く環境の改善が求められているという。このような中で、三浦さんは「子どもはすべて、より善く生まれ変わる!」の信念と子どもたちを「許す、認める、褒める、励ます、感謝する」ことをモットーに悩める子どもたちの心に寄り添い、心情を知り、感性に訴え、気迫と感動で向きあって支援活動を続けてきた。
当初はプレハブの建物で活動していたが、より組織的な活動をしようと「ゆずり葉」を設立、平成13年にNPO法人の認証を得た。15年には4階建ての自宅を建て、1階から3階を「ゆずり葉」の活動に使用している。
「ゆずり葉」の活動の一環で、16年設置した「青少年警護隊」の活動は、会員の多くがかつて触法、非行などの問題行動を起こし、通所していた青少年を中心に30人程で組織され、非行や犯罪の抑止に自ら活動計画を立て、月1回の防犯パトロールや市街地の清掃作業を行なうなどの貴重な活動となっている。
この活動は、かつての非行少年達の手によって「地域の治安は地域の少年達が守る」をスローガンに掲げ、これまでの非行問題対策に逆転の発想で取り組んだ活動であり、警察庁から地域安全ステーションのモデル事業に選ばれた。市街地の清掃活動等の活動に対しては市民からも賞賛を受けている。このことは、彼らの自尊感情を高め、社会から必要とされる人としての尊重を受ける喜びとなり、自立更生を促す要因になっている。
現在「ゆずり葉」には、通所の不登校の中学生が6人(「ゆずり葉」に来れば学校で出席扱いになる)と三浦さんと共同生活を送る相談依頼児が1人いる。通常1日に子どもたち15~6人が通所し、年間1,000人を超える子どもたちにかかわっているという。
三浦さんは、合気拳法を通じ青少年を取りまく環境の改善にも尽くしてきた同拳法の師範でもあるが、「ゆずり葉」ではやりたくない者に武道はやらせない。子どもたちがどんな悪さをしても罰を与えない。どうしてそうなるのかを諭してやる。人を信頼してやることで、この人は裏切れないという心の芽が出てくるのを待ってやるという。
問題を抱えた子どもたちの立ち直りと自立支援活動を行なうところから、スタッフ(6人)も専門的な知識が必要となり、文部科学省の「不登校への対応事業」と厚生労働省の「若者サポートステーション事業」の委託費を人件費にあてるなどにより運用をしている。今後は、県に児童の自立援助ホームと小規模児童養護施設の許可を求め、「ゆずり葉」の恒久的な運営を図る活動も進めていくという。
三浦さんは、奄美大島を教育の島にしていきたいと活動を続けている。
受賞の言葉
日本国民の自殺者が毎年三万人を超え、25才から35才迄の若者の死亡原因が自殺である。又、若者による殺傷事件も多く発生しており信じ難い問題も山積している昨今の情勢であります。27年間にわたり深刻な青少年問題に関わってきましたが今後も一人でも多くの青少年に如何に生きるか何をなすべきか、心の救済支援活動を展開していきたいと思っています。この度の栄えある社会貢献賞の授与に際し心から感謝申し上げます。