社会貢献の功績
若葉青年教室
若葉青年教室(「教室」)が発足した当時(昭和60年頃)は、知的障害者に対する社会の理解が十分とは言えず、養護学校や障害者の小規模作業所なども少なく、行き場のない知的障害者の閉じこもりや自殺などが多く見られ、福祉に携わる関係者には大きな課題となり、早急な対応が望まれていた。
このような状況を背景に、趣味やレクリエーション教室を通して、社会生活に必要な基本的な能力などを培おうとする「青年教室」活動の萌芽が全国的に見られるようになった。学校の教員やこれらの問題に憂慮を感じていた地域住民が中心となり、知的障害に理解があり、ボランティア活動に取り組んでいる人などを中心に、賛同する知的障害者やボランタリーな会員を募集し、全国的にも早い昭和60年、鶴岡市に「教室」を発足した。
「教室」の開講当時は、毎月1回日曜日の余暇を活用したレクリエーションを中心にした活動であった。次第に事務局や運営委員会で計画を立案し、毎年、特別支援学校を卒業した人たちや地域の企業、作業所などで働いている人たちがボランティアと一緒に、花見や磯釣り、運動会、旅行などを楽しむとともに、演劇(劇団若葉)や手芸・調理などクラブ活動へと活動を拡大した。同じような知的障害を抱えるボランティアの指導者が一緒になり、原則的に毎月1回の割合で現在まで継続し活動が続けられている。
以前に比べ知的障害者に対する福祉施策が充実されつつある今日の社会環境下である。しかし知的障害が理由で就労が出来ない人や施設の休館日など、障害者にとって行き場が少ない現状で、「教室」の存在は余暇の活用と生きる力を養うために大きな役割を果たしている。
近年の傾向の一つとしてコミュニティ離れが進み、障害者など団体でも会員の減少やリーダー不足などがみられるが、「教室」は現在も会員の増加傾向にある。それは、会員が各種事業やクラブ活動に参加するなど23年間にわたり活動が停滞することなく継続され、知的障害者の行き場や余暇活動に参加する機会を創出し提供しているからであろう。
平成19年度の会員数は、75名(男子41名、女子34名)、ボランティア約60名。活動に係る経費は会費で賄っている。また近隣の酒田市や新庄市の知的障害者と交流も進められ、20年度に参加する会員数は600名が見込まれている。
「教室」の活動を計画する副会長の佐野道夫さん(58歳)をはじめとする運営委員会には、知的障害者の会員も参加するなかで、意見交換を行ない要望を取り入れるなど運営方法も工夫され、また一方では、ボランティアの募集も地域の社会福祉協議会を通じて行なうなど、後継者の人材の育成も図りながら活動が続けられている。
受賞の言葉
若葉青年教室にとって、栄えある社会貢献賞の受賞は、最もサプライズ的な出来事であり、スタッフ一同、とても光栄な事と心から感謝申し上げます。障害のある人が地域の中で暮らし、地域の中で生きていく。そんな普通の事が中々難しい現実を「何とかならないのか」そんな思いを込め会員の皆が一緒になって頑張って来た23年間でした。これからも地域に根を張った活動で地域の多くの人達の支えと参加を求め「何とかなる」環境作りに少しでも近づける努力をしていきたいと思います。