社会貢献の功績
社会福祉法人 あかね
人生の途中で失明された中途視覚障害者連絡会の会員のある主婦から「私たちは目が見えなくなっても働くことができないだろうか…」の声をきっかけに平成7年、中途視覚障害者の阿部貞信(船橋市)金孝男(市川市)金子楓(船橋市)松川正則(船橋市)の4氏が中心となり、視覚障害者が中心の就労の場、身体障害者福祉作業所 「福祉情報センター ワークアイ・船橋」を開設した。
連絡会の会員や地域のボランティアによる出資や事務所を無償提供してくれた人の支援、そして船橋市などの後押しによるところが大きかった。
人生の中途で、病気や事故で身体に障害を受けた人、生まれつき障害のある人、障害の種類は違っても、残された機能を活かし、お互いを補いながら、仕事をする。視覚障害者を中心に、聴覚障害者、肢体障害者、内部障害者、みんなで努力しあって働く場である。
活動内容はテープの録音速記、データ入力、点訳、印刷、PC教室そして障害者や家族からの相談や学校での講演などである。
その後、9年と13年に事業拡大のために事務所を移転し、14年に「社会福祉法人あかね」として千葉県から認可され、施設名を「ワーク・アイ」とした。
現在、人員は就労支援11名、就労移行支援(本人が自立しての就職が可能)40名で構成され、受注内容によって適切な人員を配置し、受注期日(依頼を受けてから、中2日間で納品)を忠実に守るなかで仕事が進められている。
また、就労移行支援の人で実際に就職された人は、8年度より累計で38名が、大手の会社などに就職し継続勤務している実績がある。
取引先は北海道から沖縄まで47都道府県より受注を受けている。 民間7割、公共機関3割。営業は金子さん(施設長)と阿部さんが引き受けている。
身体的・知的に障害がある人は不測時の対応や物事から予測をしていく思考がとても苦手な人が多いのも事実で、データ入力の実務や厳しい納期日に対して健常者以上に過敏になりがちになる。また、体調の管理も難しい。障害者一人ひとりの家族構成から体調や性格、気質など把握し、受注に際して人員の選任または仕事配分などを考えて管理をしているという。
期日を正確に守ることを信条に、アドバイスはするけれど仕事は決して手伝わない。一見厳しくみえるが「仕事をすることに健常者も障害者もない」という方針のもとで、周辺の市へも2号、3号店を拡大し、ネットワーク化していきたいと活動を続けている。
受賞の言葉
この度は多くの支援者、行政の方々の御理解があっての受賞と深謝申し上げます。まさか自分が人生の途中で視覚障害になろうとは。結果、今までどおりの生活ができなくなる不安・苛立ちをぶつけ、理解があるはずの家族とも気まずくなり、友人も離れ、自ら命を絶った人もおりました。平成元年頃、中途失明の方から「もう一度自分の足で颯爽と歩き働きたい。」という言葉が動機となり、平成7年に視覚障害者自ら作業所を立ち上げ、無我夢中で運営をしてまいりました。居場所から就労の場へと目標を立て現在は社会福祉法人となり、今後とも中途視覚障害者等の自立支援を目標に活動してまいりたいと思います。ここにあらためて財団関係者・推薦していただいた玄様を始め、多くの支援者の方々に感謝申し上げます。