社会貢献の功績
エフゲニー・ニコラエビッチ・アクショーノフ
アクショーノフさんは、60数年前に旧満州(中国東北部)から来日したロシア人で、日本の医大で学び、医師免許を取得し、東京の繁華街の六本木などで医師を続けている。
アクショーノフさんが日本人のあっせんと助力により、日本に渡り医大に入学、ロシア語、英語、日本語など5ヶ国語を操り米陸軍病院などで働きながら、国際政治の中を生き抜いてきた83年の人生は、波乱万丈でドラマのようである。
戦後数年もたつと米国などからビジネスマンや観光客が日本に来るようになり、米陸軍病院や一般外国人向けの診療所で勤務していたアクショーノフさんは、独立し六本木の麻布警察署の向いの建物にクリニックを開業した。その後昭和28年に現在の飯倉片町に移転し、「インターナショナル・クリニック」を開業した。クリニックは建物付きの土地を知りあいのロシア人から借りたものであったが、後に地主から譲渡された。100年も前の古い建物である。
トラブルもなく開業し、その後も外国の会社や大使館の指定医になるなど順調で、以来50年以上にわたり、多くの外国人や在日外国人の医療に貢献してきた。クリニックは、日本の健康保険の適用外であり、患者は原則として外国籍の人に限られる。米国とマレーシア人の医師や日本人の看護師などで治療を行う外国人専用のクリニックである。
クリニックでは、患者の健康や人権を優先し、診察に来る外国人から、パスポートや外国人登録証明書の提示は求めず、住所、氏名、生年月日、電話番号を記入するだけである。アクショーノフさんは「病気以外について、患者に聞く権利がない」と語る。クリニックは東京入国管理局の指定病院でもある。アクショーノフさんは、大使館を通じての診察依頼やホテルからの外国人宿泊客の往診依頼も昼夜を問わず、どんな時間であろうと一夜に何度頼まれようと患者の有名、無名にも関係なく出かけて行く。
有名人は、大統領はじめ有名政治家やマドンナ、マイケル・ジャクソンなど人気俳優、歌手など100人を超える。裕福な患者からは、十分な治療費を受け取るが、貧しい患者には減額したり無料で診察し、場合によっては食事代を支援することもあるという。訪れた患者の国籍は100ヶ国以上にのぼる。
アクショーノフさんは「自分は外国人により一人前にしてもらった。困っている外国人に、なにかをしてあげることは当然と思っている。人間はどんな人にも治療を受ける権利がある。お金がなくて治療を受けられないのであれば、誰かが助けてあげなければならない」と治療を続けている。
受賞の言葉
この度は、栄えある社会貢献者として表彰して頂き、厚く御礼申し上げます。大変名誉な事で私はもちろん、家族、友人共々喜び感謝しております。私はもうすぐ84歳になりますが、引き続き今後とも数少ない外国人医師としてスタッフ協力の下、一人でも多くの患者を助け、地域に益々貢献していきたいと思っております。