社会貢献の功績
仲田 昭七
仲田さんは平成4年、奈良県の公立中学校の教諭を60才で定年退職後、知的障害者「のぞみの家」の共同作業所設立準備委員として開設に尽力し、開設後は共同作業所の指導員として、障害者の地域における生活支援を始めた。障害者の自立支援については、奥さんと娘さんが障害を持っていたことなどから、以前から関係の家族会などで深く関わりを持っていた。
平成10年には、大和郡山(やまとこおりやま)市内で初めてとなる精神障害者の小規模作業所「ふれあい工房」を設立した。自宅を改造し施設に提供するなど中心的な活動を行い、施設の利用者とともに「健康で心豊かな生活を営み、人からも必要とされていると実感できる活動」を目指し、利用者主体の施設運営を行ってきた。仲田さんは、障害者支援のための場所づくりには、土地や建物に要する費用や地域住民の理解など様々な問題を抱えるため、自宅を提供することが一番の近道であったという。
障害者施設の将来を見越して、平成12年から生駒(いこま)市内にあった小規模作業所を統合して社会福祉法人化に尽力し、翌年社会福祉法人「萌」(もえ)を設立した。生駒地区と大和郡山地区の3か所の各作業所を小規模通所授産施設にするとともに、地域生活支援センターやホームヘルプステーションなど奈良県北西部地区において、障害者自立支援のために障害者支援施設を次々と開設し、地域に密着した利用者主体の運営を行い、障害者福祉に取り組んだ。
平成19年には、奈良県の生駒、中和(ちゅうわ)、郡山、西和(せいわ)の各地域で、地域生活支援センター5か所、相談事務所5か所、多機能型事業所8か所、グループホーム2か所、支援住居1か所など21施設で活動を展開している。
仲田さんは「組織的には行政への申請の方法が煩雑になり事務にパソコンを導入し、これらの活動に理解のある若い人を雇い入れ、自分は年金で生活をしていけることから、障害者の生活支援に専念することができた」という。現在も精神障害者の地域における生活支援と社会復帰を押し進め、障害者の自立支援活動を続けている。
受賞の言葉
この度は私の実績について表彰して頂き、誠に有難うございました。私の受賞は精神障害問題をめぐる関係者の方々の日々の奮闘の成果であり、私が彼等を代表して頂けたものだ、と思っています。精神障害問題は、障害者問題の中でも遅れていて、まだまだ課題が山積みされています。受賞を契機として今後ともこの課題の解決のため、生きている限り取組んでいきたいと、心新たに念じています。どうも有難うございました。