社会貢献の功績
上野 隆
上野さんは、二人のお子さんが小学1年と4年の昭和40年、徳島市中吉野町に移り住んだ。子育てのための環境づくりに、地域の子ども会(会員約200名)の育成ボランティア活動を積極的に行なった。児童文庫の活性化や夏祭りなどの行事を積極的に行い、地元新聞の優良子供会表彰を受けた。また県警の職員であったことから地域住民からの信頼も厚く、45歳の時に推されて徳島市議会の議員に立候補するため県警を退職し、同50年に市会議員に当選した。
昭和50年代は第二次ベビーブームで大変な保育所不足であったことから、地域に保育所の新設を選挙の公約にしていたが、オイルショックの後遺症など市としてその余力はないと拒絶された。やむなく地域の協力を得て借地借家の選挙事務所を退職金により改装し、翌年に最低基準を充たした厚生省認可の乳児保育所(定員30人)を開設した。さらに同53年には、就学前までの保育所(定員90人、現在120人)を厚生省の認可を受け開園した。
当時の保育所は、入所児だけのための施設ということで閉鎖的で、地域に開放することは許されていなかったが、昭和62年に年数回は地域の子供達に開放することが許されることとなった。さっそく行事に地域の子供達を参加させた。平成元年からは保育所独自の方針で、週2回在宅の親子に遊びのための環境を提供し「あおぞら組」を始め、園児との交流をはかった。
平成3年には、厚生省の制度「一時的保育」事業(パートや病気、看護等子どもの緊急保育に対応)を県下で最初に取り組み、女性の社会進出や核家族化の広まり、一人っ子の増加など保育に対する多様化したニーズに対応した。さらに平成5年、家庭科が中学校で男女必修となったことを受け、中学生(3年)の保育実習を実施した。また同年には、地域に開かれた保育活動をの実績を認められて、県内で1か所の「保育所地域子育てモデル事業」を発足し、子育てをしている家庭の支援活動を行った。
平成9年は保育所内に「子育て情報センターとくしま」を開設、子育てに関する情報の提供や子育てサークルの紹介、育児相談などに取り組み、同12年には保育所内に子育て中の在宅親子が、自由に利用できる専用の「子育てセンター」を開設した。月曜は「転勤族ママの会」、火・金曜は「あおぞら組」、水曜は「子育てサークル」、木曜は「外国人のママの会」とするなど、利用する家族は年間に3,000家族にのぼっている。
上野さんは平成12年に「日本の少子化問題と子育て支援」の論文により、米国アダム・スミス大学から社会学博士の学位を贈られてもいる。活動をふり返り「一番大変だったのは、保育所経営の条件である社会福祉法人の認可の必要性を全く知識も経験もなかったにも関わらず、市会議員の公約実現のため、懸命に学習取得し独力で最低基準の認可保育所を開設することができたことである」と、現在も子育て支援のネットワークの輪を広げている。
受賞の言葉
地域子ども会育成に関わって40年、自力で保育園を開設して30年、県下で初めて子育て支援を創設して20年、何か物事すべてが記念の年に栄えある社会貢献賞を受賞しました。しかも社会貢献部門のトップで名前を呼んで頂き本人は勿論、臨席を許された家族共々大感激有り難うございました。これから、もっともっと頑張ります。