平成16年度 社会貢献者表彰
第二部門/多年にわたる功労
おおくぼ えみこ
大久保 恵美子
(昭22.10.22生 57歳/東京都・富山県下新川郡)
長男をひき逃げで亡くされた際の経験をもとに、被害者や遺族への精神的サポートの必要性を訴え、被害者自助の集いを開催するほか、救いを求める全国の被害者たちへの精神的支援に尽力されている。
推薦者:(社)被害者支援都民センター
大久保さんは、飲酒運転の車に18歳の長男をひき逃げされ亡くされた。当時、被害者には警察や裁判所から何の情報も入らず、犯人逮捕・起訴も一般報道を通じて初めて知った。裁判のスケジュールさえ知らせてもらえず、裁判で被害者は被告に反論しようにも、証言する場も無い状況だった。大久保さんの懸命な情報収集と、検事への訴え、マスコミ取材の対応によって、ようやく長男の無過失が認められた。一般に、裁判で何が行なわれようと被害者は黙って見ているしかない。悲しみと混乱のあまり声を上げることもできず、何年も苦しみの中でじっと耐えている被害者は数えきれない。1991年10月3日、「犯罪被害給付制度発足10周年記念シンポジウム」での大久保さんの訴えにより日本初の犯罪被害者相談室が開設され、その発言があった10月3日は、2003年から「犯罪被害者支援の日」となった。本年 4月現在、全国で35ヵ所の被害者センターが設立され支援活動を行なっている。大久保さんは自宅で被害者自助の集いを定期的に開催し、救いを求める被害者たちの声に対応した支援を続けている。また、被害者支援都民センターでも事件発生直後の支援を重視した直接支援活動にリーダーシップをふるう。大久保さんがその必要性を訴え、自らも始めた被害者支援活動は、関係者の尽力のもと、大きな輪となり社会に浸透し、国も犯罪被害者の権利を明記した法律制定に動き出した。
受賞の言葉
平成2年、犯罪被害者遺族となり苦しんでいる時、アメリカの被害者支援組織を訪ね、泣き寝入りしない姿勢と被害者同士で支え合う大切さを教えられました。手探りで始めた被害者支援と遺族の自助グループ活動は、仲間や関係者の支えで全国に広がり、理解されて今回受賞できたことは大きな喜びです。時を同じくして12月1日、念願だった「犯罪被害者等基本法」も成立しました。
今後とも、日本のどこに住んでいても被害直後から適宜適切な支援が受けられる社会にするため、日々努力していきたいと決意を新たにしています。