平成16年度 社会貢献者表彰
第二部門/多年にわたる功労
ふじおか ひろあき
藤岡 博昭
(昭2.10.18生 77歳/岡山県吉備郡)
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27年前、教え子の知的障害児達に自立して安心して働ける場所を与えるため、「たけのこ村」を建設して彼等と自給自足の生活を送り、陶器の制作・販売による自立を図り、着実に実績を積み重ねて全国の障害児達に生きる自信と希望の道を示されている。
推薦者:社会貢献支援財団
藤岡さんは、中学教師時代に特殊学級の担任となり、不況時に真っ先に解雇の対象となる教え子の知的障害児達の「バカにされず、安心して働ける場所が欲しい」との訴えを受けて知的障害児の社会的自立の村づくりプラン「たけのこ村建設20年構想」を作成した。1976年教職を辞し、退職金と私財を建設資金にあて、岡山県吉備郡の山麓4町歩の地に入植した。開村式は1977年5月。「一杯の水を与えられるよりは井戸を掘ろう」との、たけのこ自立の哲学を掲げて公的援助は一切受けず、山野を開墾し、ランプと山水の耐乏生活に耐え、農耕を中心とした自給自足の村づくりをすすめる一方で、備前焼、埴輪製作の陶芸技法をマスターして経済的自立への体制を整えていった。その甲斐あって、陶芸家の登竜門と言われる岡山県美術展に出品した備前大壺が県展賞に輝き、「備前焼・埴輪展覧会」をパリで開催して大きな反響を呼んだ。そして、倉敷市美観地区にたけのこ村の作品を展示販売する「ギャラリーたけのこ村」を開店し、「自給自足の村づくり」から「経済自立の村づくり」へと着実に歩みを進めた。
知的障害者が、農耕と陶芸活動を通してハンディを克服し、自ら社会的自立の可能性を実証したことは、従来の「与える福祉」から「育てる福祉」への展開の一例として全国の障害者に「やったらできる」と、生きる自信と勇気と希望のメッセージを贈ることとなった。
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自立のための陶芸活動
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たけのこ村
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受賞の言葉
障害のある教え子たちと山野を開墾し、山羊、鶏を飼い農耕と陶芸活動をして43年。大自然から『生かされていることの恵み』を学び、素直に『もったいないことです。ありがたいことです。』の喜びが言えるようになりました。思いもかけぬ受賞をいただき、私たちに大きな希望と勇気をいただきました。もったいなく、ありがとうございます。