平成16年度 社会貢献者表彰
第二部門/多年にわたる功労
しま たよ
島 多代
(昭12.7.6生 67歳/東京都品川区)
子どもに良書を与えるため、国際的なスケールで多年にわたり活躍して多くの優れた業績を残し、内外関係者の高い評価を受けてきた。とくに世界64ヶ国が加盟する、児童書の国際的ネットワークである国際児童図書評議会会長として、大きな業績を残された。
推薦者:亀田 邦子
島さんの40年に亘る活動は、子ども達に優れた本を与えたいという強い思いに貫かれ、国際的な舞台で行われたその活動は周囲の高い評価を得てきた。アメリカ図書館協会の異文化圏児童図書選定委員会委員を務め、アメリカ議会図書館のシンポジウム「日本の窓」を企画して日本の児童書3百冊を選んで図録を作り、日本の児童書における「物語の伝統」について講演を行った。1988年、長年蒐集した絵本・児童書を基に私設図書館「ミュゼ・イマジネール」を開設・主宰。また、ブラチスラバ国際絵本原画展の国際選考委員、東京こども図書館評議員を務め、1990年、世界64ヶ国が加盟する児童書の国際的ネットワークである国際児童図書評議会(IBBY)理事、1992年同副会長、1998年にはアジア人初の会長に選任され大きな業績を残した。島さんは、対立しがちな加盟国理事の意見をとりまとめ、その運営に優れたた手腕を発揮したが、2002年バーゼルでのIBBY創立50周年記念大会では、美智子皇后を同大会の名誉総裁の一人に仰ぎ、見事に大会を成功に導いた。またこれに先立ちIBBYインド大会で参加者に多大の感銘を与えた美智子皇后の講演は国内でも放映、出版されて多くの視聴者、読者に子どもの本の重要性を認識させることとなったが、それは島さんの努力なしには実現不可能であった。島さんは「子どもの本を通じての国際理解」というIBBYの理想を国際的に身を以て実践してきた。
受賞の言葉
世界各地で子ども達に本を手渡している人達は、人間にはパンと本が同時に必要だと考えています。「本をください。翼をください」という子ども達の心の叫びを知っているからです。しかし、現実には一生に一冊の本すら手にすることの出来ない多くの子ども達の存在があります。このような矛盾の中で、絶望しないで仕事をつづける為に、この受賞の喜びを世界の子どもの本の仲間たちと分ち合いたいと思います。