平成16年度 社会貢献者表彰
第一部門/緊急時の功績
ふじくら ひさたろう
故.藤倉 久太郎
(享年34歳/沖縄県宜野湾市)
ボードセーリングの部活動中、天候が悪化したため一旦岸に引き上げたが、沖に取り残された部員二人を救おうと荒れる海に引き返し、二人を救い自らは亡くなられた。
推薦者:社会貢献支援財団
2004年2月22日、琉球大学ボードセーリング部の学生10人は、沖縄県中城村久場の沖合でボードセーリングの練習中、午後3時半頃天候が悪化したため海岸に戻ったが、3年の女子部員(21歳)と2年の加藤航司さん(20歳)の2人が沖に取り残され強風で流され始めた。それを知った医学部3年で同部副部長の藤倉さんは、既に海から上がっていたが、二人の仲間を助けようと、救命胴衣を持ち、転倒し難い帆の小さなボードに乗り、再び荒れる海に引き返した。
午後6時頃、藤倉さんは沖で女子部員を見つけ、救命胴衣を手渡しボードを交換した。女子部員は自力で岸に戻った。その後、藤倉さんは加藤さんを見つけ、岩場にボードをくくりつけ一緒に夜明けを待ったが、23日午前6時半頃、突然の大波に襲われて二人とも流された。午前7時10分頃、第11管区海上保安本部のヘリが沖合約1キロの海上で加藤さんを発見して救助した。藤倉さんは同午前7時50分頃、知念村知念岬沖約200メートルの海上でうつぶせになって漂流しているところを発見されたが、既に心肺停止状態であった。22日の沖縄本島周辺海域は強風波浪注意報発令中で、波高2.5~3メートルに達していた。藤倉さんは早大を卒業して民間企業に勤めた後、医師を目指して琉球大学に入学。後輩の面倒見が良く、部員から兄と慕われていた。